シラバス参照

講義概要/Course Information
2024/05/04 現在

科目基礎情報/General Information
授業科目名
/Course title (Japanese)
光通信デバイス特論(H27年度以前入学生)
英文授業科目名
/Course title (English)
Design Techniques of Opto-electronic Devices
開講年度
/Academic year
2019年度 開講年次
/Year offered
全学年
開講学期
/Semester(s) offered
後学期 開講コース・課程
/Faculty offering the course
博士前期課程、博士後期課程
授業の方法
/Teaching method
講義 単位数
/Credits
2
科目区分
/Category
大学院専門教育科目 - 専門展開科目
開講類・専攻
/Cluster/Department
先進理工学専攻
担当教員名
/Lecturer(s)
上野 芳康
居室
/Office
西2号館313号室
公開E-mail
/e-mail
uenoy@ultrafast.ee.uec.ac.jp
授業関連Webページ
/Course website
http://www.ultrafast.ee.uec.ac.jp/ueno-classes.html
更新日
/Last update
2019/03/11 11:16:25 更新状況
/Update status
公開中
/now open to public
講義情報/Course Description
主題および
達成目標(2,000文字以内)
/Themes and goals(up to 2,000 letters)
電子工学や光エレクトロニクスの分野では、理論研究室の学生を除くと、
卒研生院生時代に「電卓とexcelでしか計算したことが無い」学生が非常に多い、
と感じています。(NEC在職時の経験を含めて、です。)
従って、授業で原理式、条件式、それらの導出を苦労して学んだけれど、
それを「使った」ことが一切無い。
光エレクトロニクス分野では、
ARコートもHRコートもシングルモード(導波モード)もフーリエ変換スペクトルも、
なにがなんだかよくわからず、「現実味が乏しい」。
たとえ教科書で勉強しても、
原因(コート膜や導波路の寸法や材料定数)とその結果(マルチモードやコーティングの波長帯域)
の因果関係(動き、振舞い)を、見たことが無いからです。
就職後にexcelからCADへ飛躍する(CADに頼り切る)のではあんまりですので、
2003年度に本授業を作りました。


本授業の達成目標:
ARコーティング/HRコーティング、導波モード(シングル/マルチモード)、周波数スペクトル解析、光ソリトンなどの基本原理、条件、因果関係を、グラフ描画した計算結果を見て、現実的に、実践的に理解することです。


本授業の効果:
(1) 本授業のようなモデル計算が、
実験結果の解析、さらに実験計画立案に大きく役立つことを実践的に体験する。
(2) 小規模な解析やモデル計算ならば、
CADに頼らずに自力で、気楽に始められるようになります。
大規模な場合は専用CAD、中規模な場合はC++、fortranが必要ですが、
小規模ならばMaple/Mathematica/Matlabが、実際の現場で実用的です。
大変役立ちます。
前もって履修
しておくべき科目(1,000文字以内)
/Prerequisites(up to 1,000 letters)
光波工学または電磁波工学など電磁波の応用に関する科目。
コンピュータリテラシー(コンピュータ端末利用、及び、数式処理言語Mapleの基礎)。
前もって履修しておくこ
とが望ましい科目(1,000文字以内)
/Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters)
量子工学、量子エレクトロニクス。
(光波の固有状態や固有エネルギーは電子波のそれらと多くの共通点を持ちます。例えば量子井戸構造材料、フォトニック結晶構造材料など。)
教科書等(1,000文字以内)
/Course textbooks and materials(up to 1,000 letters)
必要無し。
導波モードやコーティングの初歩理論については、授業資料ファイル(ppt)とプリントを、渡します。数式処理言語Mapleについては、歴代TAが作成した「初心者向けコマンド集」を、渡します。

(Mapleの参考書を探したい場合は、本学図書館に、「Maple Vで見る数学ワールド」が、5冊あります。1999年版とやや古いものの、初心者には殆ど問題無いと思います。適宜、授業TAに相談してください。)

電気通信大学大学院生は、所属研究室のコンピュータ端末(windows/mac)に、電気通信大学がライセンス契約しているMapleソフトを随時インストールすることも、可能です(情報基盤センター業務室へ、1, 2枚程度の利用申請書を提出するだけです。)
授業内容と
その進め方(2,000文字以内)
/Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters)
数式処理言語 Maple を使って初歩的光学課題の特徴を実践的に体験する、演習型授業です。(Mapleでは実行速度が遅くて困る部分では高速なコンパイラプログラムを提供し、これを利用してもらいます。)

「光通信デバイス」と銘打ちましたが、大半は、
光エレクトロニクス実験研究や装置設計で活用される常連課題です。

(1) 準備: 計算速度比較
数式処理言語Mapleは、便利で高級。ただし、計算時間が長くなりがち(遅い)。
C++やfortranはプログラムに手間と時間がかかるが、計算速度は桁違いに速い。

(2) 光信号の周波数スペクトル解析
基本的な繰返し波形(任意)の周波数スペクトルを計算し、
時間波形と周波数スペクトルの特徴とその対応関係を経験する。
光も電磁波なので、これは無線電波信号スペクトルと共通性の高い演習課題です。

(3) 光導波路モードの基礎特性
導波路の導波モードを求め、導波モードの形状や"シングルモード"となる条件と屈折率や導波路寸法の因果関係を、
実際の一連のモード解析を通して経験する。
半導体レーザや光ファイバーでは必ず登場する"シングルモード"か"マルチモード"かを左右する決定要因を、
一連のモデル計算・グラフ描画を演習する中で体験してください。

(4) 無反射コーティングと高反射コーティングの設計とその反射率特性
膜厚、屈折率、層数と、反射率及び波長帯域との対応関係を、経験する。
反射率0%を目指す無反射コーティングも、反射率100%を目指す高反射コーティングも、
半導体レーザ、赤~青色LED、デジカメなどで実際に使われている汎用技術です。

(5) 光ソリトン伝播波形
光ソリトン伝播波形(1次~3次)を計算し、3D描画し、美しい特徴を鑑賞する。


計算演習の方法:
TAから履修生へ、毎回、サンプルプログラムを提供します。
(1)では、履修生がプログラミングする必要殆ど無し。
(2)では、gaussianなどの基本波形を定義する部分だけを、
fortranで書き換えてもらいます。
(3), (4)は、数式処理言語Mapleだけをプログラムします。
(5)では履修生がプログラムする必要無し。
実務経験を活かした
授業内容
(実務経験内容も含む)
/Course content utilizing practical experience
成績評価方法
および評価基準
(最低達成基準を含む)
(1,000文字以内)
/Evaluation and grading
(up to 1,000 letters)
課題ごとのレポート提出(及び、授業への参加度)により、成績評価する。

履修生各自の「計算結果を的確なグラフで表現し、原因と結果の因果関係をつかむ力」を、授業TA・他の履修生・授業担当教員に示すように、努めてください!

合格最低基準: 積極的な授業参加と、レポート提出7割(提出期限内に)。
75%: 系統的なモデル計算結果を段階的に作り、計算結果グラフを作成し、レポートで報告した。
90%: 系統的なモデル計算結果に基づいて、読者にとって明快な計算結果グラフを作成し、各課題の実践的な特徴を考察し、計算結果を具体的に引用して結論付けた。
95%: 各課題のモデル計算内容、グラフ表現、実践的な考察、結論の明快さに、積極的な工夫と練習の成果が読み取れた。

上述の「読者にとって明快なグラフ表現、実践的な特徴を考察する、計算結果を具体的に引用して結論付ける」テクニックについては、皆さんにとって特別なことではありません。すでに学部4年次の卒業研究で、皆さんが練習を繰り返したことです。さらに大学院で、テクニックを深め、広げること。

本授業の履修を通して、各課題のいくつかの基本的特徴を、モデル計算と考察を通して実践的に理解し、『将来実際に役立つ知識と理解』を身に付けることができます。
オフィスアワー:
授業相談(1,000文字以内)
/Office hours(up to 1,000 letters)
火曜日6限
(もしも訪ねても不在だった場合はその旨メールください。)
学生へのメッセージ(1,000文字以内)
/Message for students(up to 1,000 letters)
理論モデル、計算方法、計算結果グラフのy軸・x軸の選択枝、考察や結論の視点、各課題に関連する身近な応用事例に関して、履修生とTAの間で、履修生と履修生の間で相談を繰り返すと、将来のいろいろな場面で実践的に役立ちますよ。
演習型授業なので、厳密にレポート採点するというよりもむしろ、授業TAが積極的に手助けします。履修生がいろいろなことを積極的に試してみて、お互いに見せ合い、刺激し合う授業を、手作りしましょう。
その他
/Others
今年度のTeaching Assistantは中根隆晃君(大学院先進理工学専攻学生、上野研究室、西2号館321号室(学生室))です。
キーワード
/Keywords
ARコーティング、HRコーティング、導波路モード、シングルモード、マルチモード、周波数スペクトル解析、ソリトン伝播、Maple/Mathematica、計算時間比較。