シラバス参照 |
講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
地域文化論 | ||
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英文授業科目名 /Course title (English) |
Studies on Regional Cultures | ||
科目番号 /Code |
HSS612z | ||
開講年度 /Academic year |
2019年度 | 開講年次 /Year offered |
3/4 |
開講学期 /Semester(s) offered |
後学期 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
情報理工学域 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
総合文化科目 | ||
開講類・専攻 /Cluster/Department |
情報理工学域 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
谷崎 秋彦 | ||
居室 /Office |
講師控え室 | ||
公開E-mail |
tanizaki@tamacc.chuo-u.ac.jp | ||
授業関連Webページ /Course website |
なし | ||
更新日 /Last update |
2019/07/18 17:36:30 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標(2,000文字以内) /Themes and goals(up to 2,000 letters) |
主題および達成目標 「古代・中世・近代」(および近代を批判する時代たる「現代」をこれに加えることもある)と発展してきたとされる西ヨーロッパの思想を、まずは通覧し、そしてこの思想の歴史を批判的にとらえ直すことを試みたい。その際にドイツの思想家ハイデガーによる歴史批判(西ヨーロッパの思想の歴史に対する批判)を参照し、この観点から、そもそも「歴史」とはどのような事柄であるのか、「西洋(西ヨーロッパ)」とはどのような地域なのか、を再考したい。 この論題に即しつつ、同時にハイデガーの特異な思想の一端を読み解くことも試みたい。ここで使用する主たるテクスト(「世界像の時代」)は、ハイデガーの人生の半ばにおいて(第二次世界対戦開始の直前ころに)書かれたものである。原子力をも含む大量破壊兵器が現実のものとなりつつある時代に、近代はどのような時代か、それはどこからきてどこへと向かうのか、西洋近代は他と比較して(他の時代、他の地域と比較して)どのような点で特殊なものであるのか、このようなことが扱われている書である。西洋近代を独自な視点から浮き彫りにして、西洋で語られる〈理性〉〈人間性〉〈主体(主観)〉〈自己意識〉〈真理〉〈表象〉〈対象(客観)〉のような基幹語を批判的に再検討することがこの小品で試みられている。 受講においては、〈西洋思想、哲学、近代科学、近代、技術、歴史、ハイデガー〉、これらの語(キーワード)のいずれかに関心があることを履修の要件としたい。 到達目標となるのは、各自の観点から、近代以降の自然科学は歴史的にどのように位置づけられるのか、近代の園長としての現代の科学技術は歴史的に考えてどのようなありさまをしているのか、技術、そして芸術は、西洋の歴史においてどのように推移してきたのか、など、このような事柄を自分にも関わる問題として一考することである(それが同時にレポートで問われることにもなる)。 |
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前もって履修 しておくべき科目(1,000文字以内) /Prerequisites(up to 1,000 letters) |
なし |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目(1,000文字以内) /Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters) |
科目としてはなし。 (下に示したキーワードに関心をもつ受講者の参加を希望している) |
教科書等(1,000文字以内) /Course textbooks and materials(up to 1,000 letters) |
教科書 底本として用いるテクストは、マルティン・ハイデガー「世界像の時代」(創文社『ハイデッガー全集』、第五巻「杣道(そまみち)」。茅野良男訳、所収、であるが、これは今では絶版となっているため、何らかのかたちでこちらから提供したい。個人的に所蔵したい場合などは古書を探して入手してもらいたい。また大型の図書館には収蔵されているので探してみるのもよいだろう。) 参考書に関しては、事前に買い求める要はないので、講座の進行に即して別途指示する。 |
授業内容と その進め方(2,000文字以内) /Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters) |
底本とするテクストは邦訳にして40ページ未満の小論であるが、数回読んでも恐らく理解できない難解な文だと思われる。これを小区分しつつ解説しながら、そのいわんとすることを読み解いていく、という講義形式になる。しかし説明を理解するための前提とし て、難しくとも下読みをしてくる必要があり、適時各参加者の読み(理解)を尋ねながら進行していきたいので、怠ることなく予習(下読み)しておくことが求められる。 語られていることを理解するためにも、適時事実関係について各自で調べることも必要となるが、その場合は指示に従ってそのつど対応すること。また文が難解だとはいえ、まずは通読しないことにはほぐしようがないので、こちらからの指示がなくとも、各自で時間を取って通読しておいてもらいたい。 講座の性質上、あまりに多人数では進行が難しくなる恐れがあるので、初回の様子によっては選抜する可能性もある、と心得てもらいたい(少人数ならば選抜は行わず。行う場合には初回中に課題を出すので、履修希望者は初回に欠席をしないように。)。 第1回 思想家ハイデガーに関する総論 第2回 「近代(近世)」という時代の特異性 第3回 近代を批判することの意味 第4回 近代科学が成立することの思想的意味 第5回 ハイデガーが捉える近代の諸現象 第6回 近代的「学」の本質 第7回 近代的学の基盤をなす形而上学 第8回 「表象/イメージ(代理)representation(Vorstellung)」とはどのようなことか 第9回 表象と政治との関係 (民主主義および自由主義について) 第10回 「ヒューマニズム」とはどのようなことか 第11回 「歴史の進歩」という着想の根底にある思想 第12回 「物象化」と「疎外」という概念 第13回 西ヨーロッパの思想の特異性 第14回 歴史批判とはどのようなことか 第15回 歴史をめぐるハイデガーの思想 毎回の進行に即して、各自でテクストに関する自分なりの理解をはかり、各人各様の興味関心から本文を読み解いていってもらいたい。各自の理解の総括として、期末にレポートを書いてもらうことになる。内容は「(このテクスト、もしくは指示する範囲のテクストに関する)感想」でよいのだが、あくまでも自分自身の〈読み〉が問われる。テクストに対する批判であってもよいが、いずれにしても、そこから自分が読み取ったもの、汲み出したもの、触発されたもの、などに即して、それを言葉にすることが求められている。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
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授業時間外の学習 (予習・復習等)(1,000文字以内) /Preparation and review outside class(up to 1,000 letters) |
教科書として示した書物は、難解ではあるが読み甲斐があるものなので、学校の行き帰りにでも少しずつ読んでみると得るものが多いと思われる。いわゆる思弁的な哲学書は、読み慣れることによって徐々に理解が進むものなので、よく分からずとも読み進めるのがよいだろう。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) (1,000文字以内) /Evaluation and grading (up to 1,000 letters) |
成績評価 学期末のレポート70%、随時行う授業への感想(これによって出席もカウントされる)30%と理解していただきたい。 出席はそもそもの要件となるが、積極的に参加する必要がある。具体的にはよく文字を追い、傾聴し、必要に応じてノートを取る、などが求められる。ちなみに〈ノートを取る〉とは、単に語られた断片を記録することが大事なのではなく、語られたこと、読み取ったもの、などから自分が触発されたことを記し、みずからの思考や態度を刷新し拡張するためのものである。この意味では、受講者各人が、それぞれ別のことを書き留めて、別のノートが仕上がることが結果として有益なものとなる。総じて大学の授業は、何かを習得するというよりも、授業内容をみずから膨らませて新たなものを発見することにその意義があるといえよう。 レポートで求められるのは、主として使用テクストへの感想である。その感想の要点は、各自の観点から自分の関心を浮き彫りにして、それを他者にわかるように伝えることができる文として提示する、ということになる。――だが本文は読みやすいとはいえないものであるから、レポートの課題としてはさらに、各自の観点から、〈近代〉〈近代的科学〉〈表象〉〈主観と客観(対象)〉〈物象化と疎外〉など、講座で扱った項目を主題とすることも考えている。(その課題となる項目については、授業内で指示することになる。) (各自の観点を醸成する、ということが狙いであるため、他人の書いたものを引用することは不要とする。他者の言説(とりわけネット上のもの)は参照・参看するにとどめること。事実関係に関する引証は例外とするが。) |
オフィスアワー: 授業相談(1,000文字以内) /Office hours(up to 1,000 letters) |
適時相談に応じるが、電子メールなどで事前にアポイントを取ること。主として金曜日五限前後(もしくは木曜日一、二限)(講師控え室)。 |
学生へのメッセージ(1,000文字以内) /Message for students(up to 1,000 letters) |
(再説) ある賞の受賞者の話だが、innovationとは闇雲に自分をせき立てることにより倦まれるのではなく、むしろ、発想の転換が為された折にふと生まれるものだという。この意味で、思想的に豊かになること、さまざまな時代・地域のいろいろな出来事を見聞することは、そのような発想の転換の下地となることだろう。無駄な遠回りとは考えずに、思想的な書物にも(他のものにもだが)触れてみるのがよいだろう。 |
その他 /Others |
文化、あるいは思想といわれる方面に関心をもつことは、みずからの視野を広げることに益するだろう。しかもそれを若い頃から始め、それを継続することには大きな意味があると思われる。本講座を履修しないとしても、「思想」を無駄なものとは思わないでもらいたい。 |
キーワード /Keywords |
哲学 思想 形而上学 歴史 近代 西ヨーロッパ ドイツ 世界像 表象 |