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講義概要/Course Information
2024/04/28 現在

科目基礎情報/General Information
授業科目名
/Course title (Japanese)
倫理学と哲学の間
英文授業科目名
/Course title (English)
Between Ethics and Philosophy
科目番号
/Code
HSS615z
開講年度
/Academic year
2019年度 開講年次
/Year offered
3/4
開講学期
/Semester(s) offered
後学期 開講コース・課程
/Faculty offering the course
情報理工学域
授業の方法
/Teaching method
講義 単位数
/Credits
2
科目区分
/Category
総合文化科目
開講類・専攻
/Cluster/Department
情報理工学域
担当教員名
/Lecturer(s)
増山 浩人
居室
/Office
東1-511
公開E-mail
/e-mail
masuyama.h@bunka.uec.ac.jp
授業関連Webページ
/Course website
なし
更新日
/Last update
2019/03/08 13:09:38 更新状況
/Update status
公開中
/now open to public
講義情報/Course Description
主題および
達成目標(2,000文字以内)
/Themes and goals(up to 2,000 letters)
 倫理学は道徳哲学とも呼ばれ、実は哲学の一部門である。したがって、倫理学をしっかりと学ぶためには、哲学にも目を向ける必要がある。そこで本授業では、自由意志論、神の存在と属性をめぐる問題、道徳的善の本性をめぐる問題といった倫理学と哲学の双方にまたがる問題を扱っていく。最終的には、倫理学の様々な学説をその哲学的な背景もふまえて理解することを目指す。
前もって履修
しておくべき科目(1,000文字以内)
/Prerequisites(up to 1,000 letters)
なし
前もって履修しておくこ
とが望ましい科目(1,000文字以内)
/Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters)
なし。ただし本授業の内容は特に「倫理学A」と密接な関連がある。
教科書等(1,000文字以内)
/Course textbooks and materials(up to 1,000 letters)
教科書:(1)I.カント『実践理性批判』、波多野精一(訳)、岩波文庫、1979年、(2)I.カント『永遠平和のために』、宇都宮芳明(訳)、岩波書店、1985年。期末レポートでは、この2冊のうち、1冊を材料にしてレポートを書いてもらいます。また、第9回以降は、この2冊に書かれている内容を集中的に扱います。したがって、図書館等で借りてもいいですが、買った方が効率的です。

(参考文献)
適宜授業中に紹介する。
授業内容と
その進め方(2,000文字以内)
/Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters)
(授業内容)
 現代的な感覚からすると、神は特定の宗教の信者以外関係のないものに思われるかもしれません。しかし、西洋の学問の歴史を紐解いた時、学問の進歩は常に神とともにありました。それは倫理学も例外ではありません。
 そこで、本授業では、キリスト教の教えが倫理学と哲学にどのように関係しているのかを見ていきます。まず前半では、キリスト神学と関連の深い倫理学の代表的な問題を紹介します。後半では、自然科学的な世界観とキリスト教の教えの両立を図ったカントの哲学と倫理学を細かく見ていきます。詳しい講義の内容は以下の通りです。

第1回 イントロダクション:倫理学は哲学とキリスト教にどのようにかかわっているのか?
第2回 論理実証主義者による宗教批判:科学で扱えない神は論じるに値しないのではないか?
第3回 フロイトの宗教批判:宗教は心の弱い人の逃げ場所なのか?
第4回 神の存在証明(1)デザイン論証とその問題点:世界に秩序があるならば、神は存在する。
第5回 神の存在証明(2)存在論的証明とその問題点:完全な存在者である以上、神は存在する。
第6回 悪の問題と弁神論(1):世界はこんなに悲惨なのに、なぜ神は完全だといえるのか?
第7回 悪の問題と弁神論(2):神はなぜ人間を自分の操り人形にしなかったのか?
第8回 バウムガルテンの倫理学:無神論者は道徳的になれるのか?
第9回 カントの認識論:我々は神を認識できないとしても想定することはできる。
第10回 カントの第三アンチノミー:人間の自由と自然法則はいかに両立可能なのか?
第11回 カント倫理学と自由の問題:道徳的に善い行為ができるからこそ我々は自由である。 
第12回 カント倫理学と神の問題:徳ある者が幸福になるためには、神を想定せざるをえない。
第13回 カントの永遠平和論(1):戦争を根絶させるためには何が必要か?
第14回 カントの永遠平和論と神の問題(2):永遠平和の可能性を保証する神
第15回 授業のまとめ

(進め方)
 作成したプリントに即して講義します。さらに、各授業の終わりにリアクションペーパーに感想・質問を書いてもらい、次の授業の冒頭でその一部に応答します。
実務経験を活かした
授業内容
(実務経験内容も含む)
/Course content utilizing practical experience
授業時間外の学習
(予習・復習等)(1,000文字以内)
/Preparation and review outside class(up to 1,000 letters)
前回の授業の内容を配布資料や各自のノートを使って、復習しておくこと。また、後半期には課題図書(上記、教科書等を参照)を各自で読み進めて欲しい。授業の予復習になるだけでなく、期末レポートの準備にもなる。
成績評価方法
および評価基準
(最低達成基準を含む)
(1,000文字以内)
/Evaluation and grading
(up to 1,000 letters)
(評価方法)
出席点:リアクションペーパー 20%
期末レポート(計4000字程度) 80%:期末レポートの課題は、1.小論文(1000字程度)、2.課題図書(上記、教科書等を参照)の読書レポート(3000字程度)の二つである。採点基準は、(1)授業や課題図書の内容を正しく理解できているか、(2)授業や課題図書を手掛かりに、どれだけ興味深い倫理学的な議論を展開できているか、(3)論文として形式を満たしているか、の三点である。詳細は授業中に説明する。

(最低到達基準)
a. 15回の授業のうち最低でも10回は出席していること。
b. 期末レポートの点数が6割を超えていること。なお、コピペが発覚した場合、レポートに点数は与えない。
オフィスアワー:
授業相談(1,000文字以内)
/Office hours(up to 1,000 letters)
水曜日18:00-19:00。その他の時間に相談・質問があれば、メールでアポイントをとってください。
学生へのメッセージ(1,000文字以内)
/Message for students(up to 1,000 letters)
厄介なことに、西洋の哲学・倫理学はキリスト教的伝統の上に成り立っています。したがって、キリスト教の信者でないとしても、倫理学を学ぶ者にとって、神の問題は避けて通れません。倫理学において神がどのように扱われているのかを一緒に学んでいきましょう。
その他
/Others
なし
キーワード
/Keywords
キリスト教、カント、自由意志論、永遠平和論、神の存在証明、悪