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講義概要/Course Information
2024/04/27 現在

科目基礎情報/General Information
授業科目名
/Course title (Japanese)
学域特別講義B(’19標準化)
英文授業科目名
/Course title (English)
Special Lecture on Informatics and Engineering B(The International Standardization and the Future of Japan)
科目番号
/Code
UEC011z
開講年度
/Academic year
2019年度 開講年次
/Year offered
1/2/3/4
開講学期
/Semester(s) offered
前学期 開講コース・課程
/Faculty offering the course
情報理工学域
授業の方法
/Teaching method
講義 単位数
/Credits
2
科目区分
/Category
総合文化科目
開講類・専攻
/Cluster/Department
情報理工学域
担当教員名
/Lecturer(s)
阿部 浩二
居室
/Office
東6-436
公開E-mail
/e-mail
abe@uec.ac.jp
授業関連Webページ
/Course website
国際標準化(ルール形成づくり)のための集中講義 https://www.uec.ac.jp/news/event/2019/20190401_1728.html
更新日
/Last update
2019/11/05 17:35:24 更新状況
/Update status
公開中
/now open to public
講義情報/Course Description
主題および
達成目標(2,000文字以内)
/Themes and goals(up to 2,000 letters)
■主題
この共同授業は、国が主導する「標準化官民戦略会議」の後押しをうけて、東京外大、東京農工大、電通大からなる西東京三大学連携を基礎に、さらに一橋大と東京学芸大が協力して実施される日本で初めての画期的な講義です。「標準化」とは、工業規格などの技術の普遍的な基準を確立することであり、技術の普及や発展の前提を整えることを意味します。それはしばしばたんなる「規格化」と混同されますが、「標準化」とはそれ自体が国際ルール作りの闘争であり、ダイナミックな交渉や調整のフィールドです。我が国では、この「標準化」への取組みが欧米や中国などに比べて弱かったために、技術開発の面での成功を、国際競争力での優位性に結び付けることに失敗してきたという苦い歴史をもっています。「標準化官民戦略会議」はこうした反省にのっとり、企業経営のトップに「標準化」が技術開発と並行した国際ルール作りの戦場であるという自覚を持たせるとともに、これから国際社会で活躍する若いエリート人材のなかにも、「標準化」についての理解とセンスを涵養しようと試みています。多摩地区の五つの大学はその問題提起に呼応し、経済産業省や産業界の支援を受けつつ、また文理協働の観点から東京外大のような文系の大学も交えて、今回の特別な集中講義を実現することになりました。
■達成目標
この授業を通じて、「標準化」(国際ルール作り)の定義、その歴史、さらに具体的な産業ごとにどのような課題が存在しているのかを学びます。経済産業省の課長として「標準化」問題の最前線で実務に携わってこられた一橋大学の江藤学先生の基礎的な講義のあとで、機械、電機・電子、通信、バイオなど多様な産業の具体的な事例に即して、そのリアリティを知ることができます。こうした知識を持っていることは、これから就職活動を控えている学生、また現にその真っただ中にいる学生にとって、即効性のある有効な武器になるはずです。
前もって履修
しておくべき科目(1,000文字以内)
/Prerequisites(up to 1,000 letters)
特になし。
前もって履修しておくこ
とが望ましい科目(1,000文字以内)
/Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters)
特になし。
教科書等(1,000文字以内)
/Course textbooks and materials(up to 1,000 letters)
■教科書
適宜、事前学習に必要な資料を渡します。
■参考書
江藤学編『標準化教本―世界をつなげる標準化の知識』日本規格協会、2016
授業内容と
その進め方(2,000文字以内)
/Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters)
※本集中講義は、休憩時間を各15分とります。通常の本学授業時間と異なりますので、
注意してください。
(第3時限:13:00~14:30、第4時限:14:45~16:15、第5時限:16:30~18:00)

01 9月2日(月)3限 「標準化の基礎」 担当:江藤学(一橋大学教授)
標準化の概念・定義、目的、役割、分類、基本的な便益等について解説する。特に、身近なものについて標準が活用されていることを理解し、標準の持つ様々な側面と標準がビジネスに与える影響を考える。

02 9月2日(月)4限 「製品基準とビジネス」 担当:江藤学(一橋大学教授)
「標準」のうち最もわかりやすい製品標準を題材に、標準化や規制がビジネスにどのような影響を与えるのかを、様々な事例を見ながら検討する。標準化が基本的には「コストダウン」、「市場拡大」、「差別化」のツールであることを理解する。

03 9月2日(月)5限 「試験方法標準」 担当:江藤学(一橋大学教授)
試験検査標準は、製品標準とは異なるビジネス効果を持つ面もあるが、製品標準と同じビジネス効果も持つ。試験検査標準を活用した製品の差別化事例を中心に、試験検査標準のビジネス活用について学ぶ。

04 9月3日(火)3限 「認証ビジネス」 担当:江藤学(一橋大学教授)
標準化と一体に運用される認証ビジネスについては、市場開拓、企業価値創造、ブランド化などの面でビジネス戦略に取り込まれている。ここでは、認証ビジネスの効果、利用方法、ビジネス上の対策などについて、基本的な考え方を整理する。

05 9月3日(火)4限 「イノベーションと標準化」 担当:江藤学(一橋大学教授)
標準化はイノベーションにも大きな影響を与える。数多く開発される技術シーズをイノベーションに繋げていく中で、知的財産と標準化をどのように使い分けていくべきかについて、様々な事例を見ながら考える。

06 9月3日(火)5限 「スタートアップエコシステムとルールメイキング戦略」
担当:桜井駿(株式会社NTTデータ経営研究所)
FinTech(金融とITを融合した取り組み)に代表されるように、日本国内でもスタートアップ企業によって新たなサービスや変革が様々な業界にもたらされるようになってきている。
市場規模が大きく、規制が厳しい金融・医療・不動産といった業界では、規制当局・既存の大手企業・スタートアップの3者による顧客保護を念頭に置いた連携促進が不可欠である。スタートアップ台頭によるビジネス変化の本質から、標準化までの動向を戦略コンサルタントであり、業界団体を兼務する立場から紹介する。

07 9月4日(水)3限 「通信の標準化」 
担当:奥村幸彦(株式会社NTTドコモ先進技術研究所)
電気通信サービスにとって国際標準化は必須であり、ネットワークと端末、ネットワークとネットワークの間の接続プロトコル・インタフェースが標準化の基本的な対象となる。無線通信サービスの標準化ではさらに、使用する無線周波数の確保と有効利用という命題があり、新技術の導入を可能にする標準化が世界規模の枠組で継続してなされている。これらの仕組みと最新の動向について学ぶ。

08 9月4日(水)4限 「電機・電子産業の標準化」
担当:大隅慶明(一般社団法人日本電機工業会)
電機電子産業における標準化の目的・意義について具体的な標準化活用事例を交えながら紹介する。最初に業界を取り巻く状況と最新の標準化動向、標準化を推進する目的・意義を説明。次に、具体的に戦略的標準化を実現するための商品・事業とそれに対するアプローチを解説。その上で、具体的に標準化活動を事業戦略へ展開し市場拡大に寄与した事例を紹介。更に、現在進行中の最新の具体的事例(家電/IoT等)を紹介し、標準化の位置付け・活用方法が変化し続けている事を説明、最後にこの様な状況下でグローバルで発生する課題と対応を解説する。

09 9月4日(水)5限 「農業分野の標準化と認証」
担当:今瀧博文(一般社団法人GAP普及推進機構GLOBALG.A.P協議会)
農業において現在国際標準化が進んでいるのは、適正農業規範の分野である。工業分野の製品認証とは異なり、農業生産のプロセス認証によって、食品としての農産物の安全性、ひいては持続可能な農業を世界規模で推進することを目指している為、工業分野における、特定技術や製品の差別化とは様相を異にする。HACCP手法を基にした農産物加工の食品安全認証も同様の考え方だ。これら農業・食品分野に独特な動きを学ぶ。

10 9月5日(木)3限 「国際市場を開拓する標準化戦略」
担当:大野香代(産業環境管理協会)
バイオ系、化学系の標準化には、製品性能規格や計測法の規格があり、これらに関する日本の技術は世界的にも高水準である。しかし、国際市場を開拓する上で必要不可欠な標準化戦略は、欧米諸国に比べ遅れを取っている。その中で、標準化活動をきちんと位置づけ、活動した事例を紹介し、自社の技術を標準化するには何が重要かについて検討する。

11 9月5日(木)4限 「自動車分野の標準化」
担当:高木真人(公益社団法人日本工学会理事)
地球温暖化への対応として、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)等の次世代自動車の普及拡大は、自動車産業の重要な課題である。また、自動運転(自動走行)が世界的に大きな注目を集めている。自動車産業の競争力強化の観点から、今後さらに重要性を増す自動車分野の国際標準化について、その現況を学ぶ。

12 9月5日(木)5限 「標準化と教育」
担当:小宮山利恵子(リクルートマーケティングパートナーズ・スタディサプリ教育AI研究所所長)
教育は、どのような国民を育てていくのかという、いわば国家の在り方や国民的な価値観に直結することから、単純な「標準化」の議論には馴染みにくい部分も多い。しかしながら、課題発見・解決能力や情報活用能力などのいわゆる21世紀型コンピテンシーについては、国家間・文化間での差異は案外と少なく、OECDが実施するPISAをはじめとした国際的なアセスメント指標も浸透しつつある。また、高等教育段階では、学位のチューニングや単位の相互互換システムの構築、工学分野などにおける国際的なアクレディテーションの仕組みなど、「標準化」に親和的な動きが見られる。本講義では、教育をめぐるこうした複雑な状況を概観しながら、教育分野における標準化について考察する。

13 9月6日(金)3限 「国際機関、国際交渉、標準化」
担当:飯島俊郎(外務省経済局審議官)
日本の経済外交の基本戦略とともに、その主要テーマや分野別施策のなかでも、とくに国際標準化(ルールづくり)に関わる問題のリアルを学ぶ。

14 9月6日(金)4限 「国際交渉の経験」
担当:泉泰雄(オリエンタルコンサルタンツグローバル理事)
国際交渉の現場からの視点で、「オモテ」における発表・議論・討論、とりまとめ、あるいは「ウラ」でのロビーイング、関係者との意思疎通のはかり方等、スキルに重点をおいた国際交渉の現場について学ぶ。

15 9月6日(金)5限 「まとめ」 担当:江藤学(一橋大学教授)
最終回は15回の講義の全体を振り返り、あらためて標準化の重要性を確認する。

実務経験を活かした
授業内容
(実務経験内容も含む)
/Course content utilizing practical experience
本共同授業は、経済産業省の課長として「標準化」問題の最前線で実務に携わってこられた一橋大学の江藤学先生による標準化に関する基礎的な講義のあとで、機械、電機・電子、通信、バイオなどの各産業界の第一線で活躍されてきた各講師が、長年にわたる実務経験を活かした講義を行う。各産業界の標準化活動を具体的な事例を通して最新の動向及び課題等について学ぶ。
授業時間外の学習
(予習・復習等)(1,000文字以内)
/Preparation and review outside class(up to 1,000 letters)
適宜、事前学習に必要な資料を渡します。
成績評価方法
および評価基準
(最低達成基準を含む)
(1,000文字以内)
/Evaluation and grading
(up to 1,000 letters)
講義の内容に関する課題レポートを課し、それに基づいて適正に評価します。
オフィスアワー:
授業相談(1,000文字以内)
/Office hours(up to 1,000 letters)
学生へのメッセージ(1,000文字以内)
/Message for students(up to 1,000 letters)
その他
/Others
各講義は以下の業界や学会の協力を得て、最新の知識と情報を提供する稀有な講義になります。日本電機工業会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本建材・住宅設備産業協会、日本化学繊維協会、日本自動車工業会、日本鉄鋼連盟など。
キーワード
/Keywords
標準化、国際ルール作り、知財戦略、デファクト・デジュール・フォーラム標準、官製認証ビジネス、コストダウン、市場拡大