シラバス参照

講義概要/Course Information
2020/04/28 現在

科目基礎情報/General Information
授業科目名
/Course title (Japanese)
科学技術と倫理
英文授業科目名
/Course title (English)
Science,Technology and Ethics
科目番号
/Code
HSS701r
開講年度
/Academic year
2020年度 開講年次
/Year offered
3/4
開講学期
/Semester(s) offered
前学期 開講コース・課程
/Faculty offering the course
情報理工学域
授業の方法
/Teaching method
講義 単位数
/Credits
2
科目区分
/Category
総合文化科目
開講学科・専攻
/Cluster/Department
先端工学基礎課程
担当教員名
/Lecturer(s)
高橋 幸平
居室
/Office
なし
公開E-Mail
/e-mail
ktakahasi◎uec.ac.jp 〔◎を@に読みかえてください〕
授業関連Webページ
/Course website
なし
更新日
/Last updated
2020/04/25 13:34:31 更新状況
/Update status
公開中
/now open to public
講義情報/Course Description
主題および
達成目標
/Topic and goals
科学技術が進展する現代において、地球温暖化に顕著なように、環境問題はますます深刻になっている。技術と自然、人と自然の調和をはかることは、我々にとってさしせまった重い課題である。たとえば、環境をめぐる現代の応用倫理学では、自然との共生や持続可能性などのさまざまな論点が示されている。しかし同時に、課題に直面するなかでいま我々が欲しているのは、自然・人・技術それぞれのあり方や相互の関係について、はじめから問い直してみることではないだろうか。すなわち、自然の一部である人はどのように生きているのか、そして、技術は人が生きていることにどのように関わっているのか、さらに、人としてよく・うるはしく生きていることとは何か。このような「人のあり方・生き方」をめぐる問いは、「倫理」をめぐる最も根本的な(はじめの)問いの一つである。
以上のような我々の課題に向かうため、この講義では、技術と自然との関係を主題として、古代ギリシアのアリストテレスの思想に拠って考察を深め、また、課題への手がかりをさぐることを目指す。
アリストテレスは「万学の祖」とも呼ばれるように、今日の自然科学・人文科学を跨いで、ほとんどすべての学問分野についてあまねく研究し、論文のかたちで問題設定と説明(問いとこたえ)を提示した。現代の我々の科学・技術の源(はじめ)に位置する研究者である。アリストテレスに拠ることの意味は、ここにある。自然・人・技術のあり方についても、アリストテレスはさまざまな分野において考察を試みている。この講義では、上記の主題に沿って、倫理学に限らず、広く、自然学、生物学、形而上学、詩学などのアリストテレスのテキストを読み解いてゆくことにする。
ただし、その記述内容はいまから2300年ほど前のものであり、現代とは前提が異なるところ、理解しがたいところもあるが、現代の科学・学術や世界観の礎となったことで、我々の常識と共通するところも少なくない。このような両面を含むアリストテレスを読むことは、我々の源を読み解くことでもあり、我々とは異なるものを読み解くことでもあり、それと対比することによって、同時に、いまの我々自身を理解することにもなるだろう。実際に、近代へと至る学術・科学の蓄積は少なからず、「古典」としてのアリストテレスを読み解き、問いを深め、考察することによってなし遂げられてきた。アリストテレスに拠って考える理由は、ここにもある。
前もって履修
しておくべき科目
/Prerequisites
特に必要としない
前もって履修しておくこ
とが望ましい科目
/Recommended prerequisites and preparation
特に必要としない
教科書等
/Course textbooks and materials
勢力尚雅編『科学技術の倫理II』(梓出版社,2015,ISBN978-4-87262-036-8)
授業内容と
その進め方
/Course outline and weekly schedule
(a) 授業の進め方
講義・講読形式。関連するアリストテレスのテキスト(和訳)を配布し、解説を加えながら読み進める。また、講義内容については、教科書を各自で参考にすること。

(b) 授業内容
※以下に掲げる計画は内容の変更や日程の前後があるので注意すること※

第1回
「導入」 講義の概容、成績評価ほかの諸注意
 ※履修希望者は必ず出席すること※
「アリストテレスのテキストについての解説」

第2回
「技術とは何か」(1) 技術(テクネー)ということば、「technology」ということば
第3回
「技術とは何か」(2) 制作する技術―アリストテレスの四原因モデル
第4回
「技術とは何か」(3) 技術の特徴―原因の外在、制作活動の目的
第5回
「自然とは何か」(1) 技術と自然との相似・相異―技術から自然へ
第6回
「自然とは何か」(2) 「人は人を生む」―生成する自然
「中間レポートの課題発表」

第7回
「自然を模倣する技術」(1) 模倣のさまざまな用例―自然と技術との相似・優劣関係
第8回
「自然を模倣する技術」(2) うるはしさの模倣―組織された全体(システム)をまねぶ技術
第9回
「自然を模倣する技術」(3) 永遠性の模倣―自然の生成変化の継続とその原因
第10回
「補論」(1) 神とこの世界―永遠性とうるはしさの「はじめ」としての神
第11回
「自然を模倣する技術」(4) 生物の種の永続―自然の定常性、精確性の模倣

第12回
「生きるための技術」(1) 人が生きるための技術―自然に反する技術・自然の補完としての技術
第13回
「生きるための技術」(2) 自然を模倣する技術のすがた―円環をなす自然の永続性と技術の持続性
「補論」(2) 倫理学(目的論)における技術の位置づけ
第14回
「補論」(3) 思惟・観想―神と人をつなぐ活動
       永遠性・うるはしさを「はじめ」とするアリストテレスの世界観
     
第15回
「期末課題の説明」 レポートの書き方ほかの諸注意
 ※レポートを提出する意志のある者は、必ず出席すること※
 ※説明の日程は授業内で予告する※

実務経験を活かした
授業内容
(実務経験内容も含む)
/Course content utilizing practical experience
授業時間外の学習
(予習・復習等)
/Preparation and review outside class
講義の各回に対応する教科書の記述内容に目を通した上で講義にのぞむこと(予習)。
アリストテレスのテキストにあたって、講義内容を確認すること(復習)。
成績評価方法
および評価基準
(最低達成基準を含む)
/Evaluation and grading
(a)評価方法:中間レポートと期末レポートによる評価
(b)評価基準:
{1}論述(テキストを読んで論じる)形式の期末レポートによる評価(評点の100%)。アリストテレスのテキストを内在的に読み解き、理解した上で、その内容について各自が問い、考察したところを論述していること(評価基準)。※詳細は第1回および第15回(予定)などで示す。
{2}前半(第6回まで)の講義内容を要約し説明する中間レポートを課す。中間レポートは提出の有無のみを確認し、評点はしない(期末の評価に若干の加味はする)。中間レポートを提出しない者は、期末レポートを含めて履修放棄(「不可(D)」)とする。
{3}中間・期末ともにレポートはWeb上の情報に依拠することはできない(「不可(D)」とする)ので、注意すること。
オフィスアワー:
授業相談
/Office hours
授業後に適宜対応する
学生へのメッセージ
/Message for students
{1}履修希望者は第1回に必ず出席し、講義の説明を聞いて内容を確認すること。
{2}期末課題の説明には必ず出席し、課題について確認すること。
{3}講義形式ですので、私語を謹みご静聴ください。
その他
/Others
なし
キーワード
/Keyword(s)
技術 自然 模倣 永遠 美 組織・有機体・システム 生命 円環 持続可能性 環境 倫理