シラバス参照 |
講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
光電子材料学 | ||
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英文授業科目名 /Course title (English) |
Optoelectronics Materials | ||
科目番号 /Code |
PHY601m PHY603k | ||
開講年度 /Academic year |
2020年度 | 開講年次 /Year offered |
3 |
開講学期 /Semester(s) offered |
後学期 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
情報理工学域 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
専門科目 | ||
開講学科・専攻 /Cluster/Department |
Ⅲ類 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
上野 芳康 | ||
居室 /Office |
西2号館313号室 | ||
公開E-Mail |
uenoy@ultrafast.ee.uec.ac.jp | ||
授業関連Webページ /Course website |
http://www.ultrafast.ee.uec.ac.jp/ueno-classes.html | ||
更新日 /Last updated |
2020/03/16 18:16:36 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標 /Topic and goals |
光通信システム、光ディスクメモリー、半導体レーザ、フラットディスプレイに代表される光の科学技術は、現代の世界に広く普及している。これらの中では、光の波動(光波)としての性質と、光子としての性質と、光材料の光学的性質が、巧みに組み合わされている。本授業を履修することにより、これらの光技術の学問的な基礎と相互関係を理解し、それらを通して代表的な応用工学技術への興味や見識を育てる。 |
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前もって履修 しておくべき科目 /Prerequisites |
電磁気学(電磁波まで)、および、熱力学(例えば熱エネルギーの多い少ないを温度の高低と区別すること)。光(光波動でありかつ光粒子)の特徴のうち波動としての特徴一式は、電磁波の特徴一式に合致します。 |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目 /Recommended prerequisites and preparation |
基礎量子工学(3年次前学期)、および、固体電子論(3年次前学期)。 (光電子材料学に関連深い光波工学と量子エレクトロニクスは3年次後学期に並行に開講されます。) |
教科書等 /Course textbooks and materials |
教科書: ・末益崇著、光デバイス入門、コロナ社、2018年5月初版発行、2,500円。 他の参考書・参考文献: ・末松安晴著、光デバイス(新版)、2011年、コロナ社(3000円)。概論書です。 ・Saleh and Teich, Fundamentals of Photonics, 2nd edition, Wiley, 2007. 下記のYarivの光エレクトロニクスが初版から40年も経ってしまったので、2000年以降に新たに編纂された総合的な光エレ・量子エレ教科書を探すと、Saleh-Teichが良いようです。 ・斉藤・今井他共著、入門固体物性 基礎からデバイスまで、共立出版。概論書。 ・Amnon Yariv and Pochi Yeh, Photonics: Optical Electronics in Modern Communications, 6th edition, Oxford, 2006. ・光エレクトロニクス(Yariv-Yeh第6版和訳書)、多田邦男・神谷武志共訳、2010年、丸善(6600円)。 ・御子柴宣夫著、半導体の物理、培風館、1991。半導体の物理というよりむしろ「固体結晶の電子エネルギーバンド構造と光電子特性論(基礎的な量子論)」です。日本語で書かれた教科書の中で過不足無く最も良い本だと思います。 ・永井・安達・福井共著、Ⅲ-Ⅴ族半導体混晶、1988年、コロナ社。主要な光結晶材料の物性定数がよく纏められている。 ・西原・裏著、光エレクトロニクス入門、2005年改訂版、コロナ社(3000円)。概論書。 |
授業内容と その進め方 /Course outline and weekly schedule |
授業計画 第1回:本授業全体の概要を述べる。シリコン以外の化合物半導体材料を用いる広範な装置や産業、それらの光電子材料のバンドギャップエネルギー、その他の大きな特徴。 第2回:固体結晶一般における結晶格子構造、逆格子空間、ブラッグ回折条件、バンド構造。 第3回:固体半導体結晶の伝導帯の電子、価電子帯の電子と正孔、それぞれの電子波動状態。 第4回:光波と光子、及び電子と電子波の総合的な対応関係。 第5回:直接遷移型と間接遷移型の決定的な差異。エネルギー保存則と波数保存則。 第6回:太陽電池の内部構造と光→電力変換の原理。半導体LEDの内部構造と電力→光変換の原理。 第7回:白色LEDの発光の物理原理を、白熱電球や蛍光灯と対比する。 第8回:レーザにおける誘導放出を、LEDにおける自然放出と対比する。 第9回:光学利得(光増幅率。電気信号増幅器の増幅率に相当する)。 第10回:共振器の定義、構造、および基本原理。 第11回:レーザ発振に必要な2つの条件、および、電力・光変換効率に対する寄与。 第12回:固体材料内部の励起電子密度を高める標準的方法。熱エネルギーから受ける影響。 第13回:光導波路の定義、光閉じ込め作用、および入出力特性に対する寄与。 第14回:光パワー密度・電流密度・電界強度など、各種「密度」の高さについて。 第15回:光エレクトロニクス材料の光電変換効率と高速応答特性について。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
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授業時間外の学習 (予習・復習等) /Preparation and review outside class |
教科書・参考書の該当部分を参照しながら予習・復習すること。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) /Evaluation and grading |
(a) 評価方法: 出欠状況、レポート、期末試験により評価する。 (b) 評価基準: 以下の到達レベルをもって合格の最低基準とする。 (1) 数種類の代表的光電子材料の化学組成や波長特性を説明できること。 (2) 間接遷移半導体・直接遷移半導体の励起電子状態の差異と応用用途の差異の対応関係を理解し、それらの基礎的側面を解説できること。 (3) 半導体LEDと半導体レーザの内部構造と動作原理と必要条件を理解し、それらの基礎的側面を解説できること。 (4) 白熱電球、蛍光灯、白色LED、半導体レーザなど各種の発光材料(発光素子)の電力・光エネルギー変換効率がどのような原理や要因に基づくかを理解し、それらの基礎的側面を解説できること。 |
オフィスアワー: 授業相談 /Office hours |
火曜日6限 (もしも訪ねても不在だった場合はその旨メールください) |
学生へのメッセージ /Message for students |
21世紀の高速で大容量な情報通信技術(Information Commnication Technology)の実に多くの側面が、様々な光の科学技術に支えられています。例えば現代の私たちの無線通信ネットワークを常時滑らかに動かすためにも、クラウドデータセンターやスパコンのエネルギー消費量を減らすためにも、最新・最強の『光』通信ネットワークが必要不可欠な時代となりました。 他方、建築・土木や船舶・航空機・宇宙工学と異なり、電気電子工学が生み出す製品は、小さいモノが大半です。その中でも、半導体レーザや光ファイバーケーブルは、肉眼では目立たない小さいな製品(技術)です。しかしそれらの中には、高精度で高純度な科学技術が、ぎっしりと詰め込まれていることを、ぜひ感じ取ってください。 |
その他 /Others |
授業内容のうち「伝導帯の電子、価電子帯の正孔(ホール)、それぞれの電子波状態、半導体pn接合」は、前学期に開講した「固体電子論」の復習である。 授業内容のうち「共振器と導波路」はそれぞれ、同一学期に開講する「光波工学」に主に属する内容である。従って本授業では、前後の週の講義内容に結び付ける程度に軽く講義する。 |
キーワード /Keyword(s) |
シリコン半導体、化合物半導体、バンドギャップエネルギー、光子・光波・電子・電子波、直接遷移・間接遷移、波数の保存則、自然放出・誘導放出、白色LED、半導体レーザ、共振器と導波路、太陽電池、変換効率、応答速度。 |