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講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
科学技術と人間 | ||
---|---|---|---|
英文授業科目名 /Course title (English) |
Science,Technology and Human | ||
科目番号 /Code |
HSS507z | ||
開講年度 /Academic year |
2022年度 | 開講年次 /Year offered |
3/4 |
開講学期 /Semester(s) offered |
前学期 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
情報理工学域 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
総合文化科目 | ||
開講類・専攻 /Cluster/Department |
情報理工学域 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
○高橋(幸)・○田中(基)・○長野・○須藤・○関谷 | ||
居室 /Office |
なし | ||
公開E-mail |
sekiya.y@uec.ac.jp(関谷雄磨) | ||
授業関連Webページ /Course website |
なし | ||
更新日 /Last update |
2022/05/11 03:12:29 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標(2,000文字以内) /Themes and goals(up to 2,000 letters) |
【講義の主題】 「科学技術」というキーワードを通して、人間存在について考えるオムニバス講義です。主に哲学・倫理思想の観点から、古代・近代・現代、また、西洋・日本にわたって、5名の講師がそれぞれの専門分野の知見や実務経験に基いて、問いを立て、科学技術と人間存在について考察してゆきます。 本講座は、人間存在とは何か―倫理・社会の内において、また、自然・環境の内において、人が生きているとは、どういうことか―を問う講義ですので、「正解」を定めて導き出したり、「知識」として修得することを目指す講義ではありません。受講生のみなさんは、各講師が示す考察の材料や考察の過程を踏まえつつ、各講師が立てた問いについて、自ら考えてみて下さい。 第1部:西洋古代・近代 …関谷雄磨(古代ギリシア思想)※全6回、高橋幸平(古代ギリシア思想)※全1回 第2部:現代 …田中基寛(三菱電機株式会社、環境対策実務)※全2回 第3部:古代日本 …長野邦彦(日本倫理思想(神道・仏教))※全3回 第4部:西洋近現代 …須藤孝也(実存思想・宗教学)※全3回 ※各回の具体的内容については、下記「授業内容とその進め方」を参照※ 【講義の目標】 各講師が設定した問題について、講義で示された資料・文献・教科書などを用いて、受講者各自があらためて問いを立て、考察を深め、考察した内容を論述して示すことを目標とします。 |
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前もって履修 しておくべき科目(1,000文字以内) /Prerequisites(up to 1,000 letters) |
特に必要としない |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目(1,000文字以内) /Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters) |
特に必要としない |
教科書等(1,000文字以内) /Course textbooks and materials(up to 1,000 letters) |
勢力尚雅編『科学技術の倫理II』(梓出版社,2015,ISBN978-4-87262-036-8) ※第2部(田中講師担当回)参考書 |
授業内容と その進め方(2,000文字以内) /Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters) |
5名の講師がオムニバス形式で講義を行う。全体は以下の4部に分かれる。 ※感染状況により、全体の半分程度オンデマンドに変更となる可能性があります。 【第1部】担当講師:関谷雄磨(第1、3~7回、全6回)、高橋幸平(第2回) 『科学技術および現代社会を考える―価値・欲望・快楽・幸福をめぐって―』 われわれ人間は科学技術を手に入れたことによって、生活を便利に、快適にすることに成功しました。さらには、単に便利な生活のみならず、「豊かな」生活を送ることも可能になりました。しかし、「豊かな」生活を送っているはずのわれわれは、果たして幸福な(よい)人生を送っているのでしょうか。私の担当回では、この問題についていくつかの視点から考察します。なお、教科書は使用せず、配布プリントに基づいて講義を行います。 〇第1回『講義全体の説明および導入』 ・講義の概要、課題の提出方法、成績評価などの説明。※履修希望者は必ず出席して内容を確認すること。 ・導入(『科学技術を歴史的源泉から考える』:ベーコン、デカルト) 科学技術がどのような「前提」のもとで構築されてきたのか考察します。それは、例えば「人間中心主義」や「二元論的世界観」といったものです。これらによって、科学技術(および現代社会)が決定的に方向づけられていることを確認します。 ○第2回『科学技術ということば』(※オンデマンドで実施予定) 現代の「科学技術」の源を古代ギリシアに遡り、特にアリストテレスに拠って、関連する語の意味するところを探る。 ○第3回『「技術」とはどのようなものであるべきなのかを考える:プラトン』 前講を受けて、それらの「前提」によって基礎づけられる現代の科学技術のあり方を、プラトンの技術観(「真に技術と呼ぶべきものは善悪の価値判断を可能とする」)を参照しながら、批判的に考察します。 ○第4回『科学技術がもたらした医療倫理上の問題を考える:ミル、カント』 前講を受けて、具体的実例として医療倫理上の諸問題を取り上げながら、科学技術と価値判断の関係性の問題についてより広範な視点から考察します。 ○第5回『「欲望」について考える:プラトン』 科学技術と価値判断の関係性の問題は、つまるところ人間がさまざまな願望(欲望)を持っていることに起因します。そこで、人間は願望(欲望)とどのように向かい合うべきかという問題について、プラトンを参照しながら考察します。 ○第6回『「享楽(快楽)主義」について考える:キュレネ学派、エピクロス』 われわれの願望(欲望)の多くは、「快楽(=人生における楽しさ全般、満足感)」への欲求として生じます。そこで、人間は「快楽」とどのように向かい合うべきなのかという問題について考察します。 ○第7回『科学技術がもたらした大量消費社会を考える:キュニコス学派』 われわれは、これまで考察してきたことに基礎づけられた大量消費社会に生きています。では、この「豊かな」社会は、われわれが幸福な(よい)人生を送ることを可能にするでしょうか。物質的豊かさへの志向と幸福との関係について考察します。 【第2部】担当講師:田中基寛・全2回 『パラダイムを扱うというアプローチについて—環境・社会課題と人間—』 科学技術が内包する「専門化」が生んだ「環境問題」は20世紀後半~末に世界的な課題となり、「地球の有限性」を示した。21世紀初頭、環境問題は「社会課題の一つ」となり、社会課題は「SDGs(国連の「持続可能な開発目標」)」という世界合意に結実した。ここに登場する「パラダイムを扱うというアプローチ」を含む、「パラダイム」を巡る「実践の知」について考察する。 〇第8回『環境問題とクーンのパラダイム』 トーマス・クーンの「パラダイム」と大橋力に拠って、科学技術が「高度専門化社会」を生み、専門のはざまに「環境問題」が生じるという視点を提示する。企業の社会的責任として扱われてきた環境問題・社会課題への対処をこの視点から俯瞰し、さらに、科学者倫理、専門家と非専門家との対話、科学技術の社会的な制御などについて、その有効性を問い直す。 〇第9回『社会課題と個人をつなぐアプローチとしてのパラダイム』 「社会課題」へ対処する推進力・動因は、「個人は世界と直接つながっている」感覚の広がりではないだろうか。このような見通しから、日本のSDGsの現場でも適用が試みられている「パラダイムを扱うというアプローチ」を、市民社会サイドと、企業サイドの実例を交えて紹介する。 【第3部】担当講師:長野邦彦・全3回 『自然とかかわる技術について─古代日本における祭祀の諸相から─』 第3部では、古代日本における「自然とかかわる技術」について紹介します。そのことをきっかけに、現代の日本において、科学技術と人間との関係に関して理解する際に暗黙の前提となっている思想の枠組みについて、あるいは現代の考え方とは異なる視点について考察します。 〇第10回『古いカミ祀り─自然としてのカミとかかわる技術─』 古代日本における「カミ」とは、多くの現代人が思い浮かべる「神」とは異なり、まず第一には人間の思い通りにならない自然の力のことでした。そして、人間よりも優位な自然=カミと上手く付き合う技術として「祭祀」がありました。こうした古代の自然観・人間観・技術観を学ぶことは、現代日本におけるそれらを見つめ直すうえで貴重な視座をもたらしてくれるでしょう。 〇第11回『古いカミ祀りから新しいカミ祀りへ─カミを祀るひと─』 カミを祀るひとは、カミ(自然)と人間との境界上にあって両者を媒介する存在でした。それゆえ、祭祀者には一般の人々とは異なる特別な資質が求められ、また彼ら自身がカミとして祀られることもありました。カミを祀る人の特質を考察することを通じて、人々の生が成り立つ条件について考え直します。 〇第12回『新しいカミ祀り─『古事記』イザナキ・イザナミ神話─』 国家の確立に伴い、『古事記』や『日本書紀』のような歴史書が編纂され、カミや祭祀について新たな考え方が成立しました。それは、自然としてのカミを生み出した、より尊貴なカミが存在し、その新たなカミの子孫である天皇が日本全国の祭祀を統括するというものです。このような見方を参照しつつ、再度現代日本における自然観・技術観について考察します。 【第4部】担当講師:須藤孝也・全3回 『G. ジンメルの人間理解:宗教と科学』 科学と宗教は否定し合う関係にあるのか、それともそれぞれ異なる領域において異なる問題に対処するものなのか。近代科学の成立以後の宗教のあり方について考察したジンメルをピックアップし、その議論を参照しながら、人間理解を深める。近代科学がしばしば看過する人間存在の諸側面を確認することで、近代科学および科学技術のありうべき形を模索する一助となすことを目的とする。 〇第13回『現代の状況』 ジンメルによれば、「啓蒙」を経験することで、伝統宗教を伝統的な仕方で信じることは困難になった。しかしそれにもかかわらず現代人は「宗教の欲求」をもっているため、不安を感じていると言う。啓蒙を経験した現代人とはどのような存在か。歴史を振り返りながら、現代人の置かれた状況について解説する。 〇第14回『宗教と科学』 ジンメルは、宗教と科学は否定し合うことがなく、両立するものだと言う。それらが携わる問題は、それぞれどのようなものか、どのように異なっているのか。宗教と科学だけではなく、芸術など、諸文化領域を分けて考えることができるという、ジンメルの議論について解説する。 〇第15回『宗教性について』 ジンメルは、人間には宗教性というものがあり、その宗教性が宗教を生みだすのだと言う。宗教が働くメカニズムとはどのようなものか。 宗教性と社会性は、人間のなかでどのように関係しているのか。ジンメルの議論を追いながら、後半はジンメルの議論について批判的に考察する。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
第2部を担当する田中基寛講師は、三菱電機株式会社にて環境行政を司る本社共通部門(環境推進本部)に勤務(2004年度~2017年度)。「環境報告(環境に関する企業による情報開示)」の編集長ほか環境関連広報を担当した。2017年度~2019年度は同社伊丹製作所において環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001:2015年版を導入した。また、SDGsへの理解を深める事業所内教育開発に従事し、2019年からは日本における「SDGs」の現場活動の取材と導入を開始。2020年度からは本社・環境推進本部に戻り、環境行政の傍らグループ全体のサステナビリティ経営の強化を目的とする組織再編の議論に関与。2021年4月からはその結果新設された「コーポレートコミュニケーション本部」内のサステナビリティ推進部・サステナビリティ推進課にて、事業を通じた社会課題解決の分野を担当、サステナビリティ・トランスフォーメーション活動を先導する役割を担っている。以上の実務経験を踏まえて、講義を行う。 |
授業時間外の学習 (予習・復習等)(1,000文字以内) /Preparation and review outside class(up to 1,000 letters) |
各回の講義内容について復習に努めること。 予習として、各部の課題レポートに向けて準備を進めること。 そのほか、各講師の指示に従うこと。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) (1,000文字以内) /Evaluation and grading (up to 1,000 letters) |
【成績評価方法】 {1}4名の講師(関谷・長野・須藤・田中)がそれぞれレポート(論述形式)を課す。 {2}課題内容・期限・提出先・注意事項などの詳細は、各講師それぞれの担当回のなかで示す。 {3}各講師が課すレポート(各1回とは限らない)をすべて提出しなければ、「不可(D)」とする。 {4}レポートの総計で成績を評価する。配点の比率は、担当回数による(関谷2:長野1:須藤1:田中1)。 {5}レポートの提出は学内のWebClassを用いて電子的に行うので、履修者は必ずWebClassに登録すること。 {6}各部それぞれすべての回の「出席」(対面・オンデマンドを問わず、webclassのアンケート課題を提出すること)がない場合、評価のためのレポートを提出することができない(「不可(D)」とする)。 【評価基準】 {1}講義の内容を理解している。 {2}講義の内容について自ら考察している。 {3}理解した内容・自ら考察したことを明確に論述している。 {4}そのほか、各講師ごとに個別の評価基準等を示す。それぞれの課題や基準等を満たすこと。 |
オフィスアワー: 授業相談(1,000文字以内) /Office hours(up to 1,000 letters) |
○講義全体にかかわる質問は、関谷が対応する。 ○個別の授業内容や課題などについての質問は、各講師が対応する。 ○対面授業では、講義の前後に各講師が質問に対応する。 ○または、WebClassの「掲示板」(公開)、「メッセージ」(非公開)、E-Mailから 各講師に問い合わせること。 ○講師にE-Mailなどで連絡する際は、氏名・学籍番号・科目名「科学技術と人間」を明記すること。 |
学生へのメッセージ(1,000文字以内) /Message for students(up to 1,000 letters) |
第1回のガイダンスで全体の説明を行うので、履修希望者は必ず受講して内容を確認してください。 |
その他 /Others |
特になし |
キーワード /Keywords |
科学技術 人間存在 倫理 実存 自然 環境 SDGs(国連の「持続可能な開発目標」) 社会課題 パラダイム 幸福 |