シラバス参照

講義概要/Course Information
2025/04/27 現在

科目基礎情報/General Information
授業科目名
/Course title (Japanese)
ドイツ倫理学
英文授業科目名
/Course title (English)
German Ethics
科目番号
/Code
HSS508z
開講年度
/Academic year
2023年度 開講年次
/Year offered
3/4
開講学期
/Semester(s) offered
前学期 開講コース・課程
/Faculty offering the course
情報理工学域
授業の方法
/Teaching method
講義 単位数
/Credits
2
科目区分
/Category
総合文化科目
開講類・専攻
/Cluster/Department
情報理工学域
担当教員名
/Lecturer(s)
増山 浩人
居室
/Office
東1-511
公開E-mail
/e-mail
masuyama.h@bunka.uec.ac.jp
授業関連Webページ
/Course website
なし
更新日
/Last update
2023/03/23 10:03:27 更新状況
/Update status
公開中
/now open to public
講義情報/Course Description
主題および
達成目標(2,000文字以内)
/Themes and goals(up to 2,000 letters)
(主題)カントの『永遠平和のために』を読む
 18世紀のヨーロッパでは多くの戦争や紛争が起こっていました。この状況を受けてカントは1795年に『永遠平和のために(Zum ewigen Frieden)』を出版しました。同書で、カントは自らの倫理学を下敷きにしながら、平和状態が実現するために必要な条件を論じています。これらの条件の中には、「常備軍の廃止」や「国家間連合の設立」など現代の人々が共有できるものも少なくありません。
 この授業ではカントの『永遠平和のために』をセミナー形式で輪読します。このことを通じて、「戦争のない平和な世界を作るために何が必要なのか?」という問いについてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

(達成目標)
(1)カントの平和論の概略と後世に対する影響を理解すること。
(2)倫理学の古典の日本語訳を独力で読むためのテクニックを身に着けること。
(3)倫理学の問題について他者と議論できるようになること。
(4)「戦争のない平和な世界を作るためには何が必要か?」という問題について自分なりの意見を持てるようになること。
前もって履修
しておくべき科目(1,000文字以内)
/Prerequisites(up to 1,000 letters)
なし
前もって履修しておくこ
とが望ましい科目(1,000文字以内)
/Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters)
なし。ただし、「倫理学A」および「倫理学B」と本授業の内容には密接な関連があります。また、高校レベルの公民、倫理、世界史の知識も授業の理解のために役立つでしょう。
教科書等(1,000文字以内)
/Course textbooks and materials(up to 1,000 letters)
教科書:I.カント『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』、中山元(訳)、光文社古典新訳文庫、2012年。https://www.kotensinyaku.jp/books/book03/
授業は教科書に基づいて進めるので、教科書は必ず購入し、2回目以降の授業に参加する際には持参してください。『永遠平和のために』の翻訳は他にもいくつかありますが、必ず上記の光文社版の訳を買ってください。その他の参考文献は授業中に適宜紹介します。
授業内容と
その進め方(2,000文字以内)
/Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters)
(授業内容)
 この授業ではカントの『永遠平和のために』をゆっくり読み進めていくことで、カントが自説を展開するプロセスを丁寧に見ていきます。このことによって、「戦争を根絶するためには何が必要か」という問題に対してカントが導き出した答えをいわばその証明手続きまで含めて理解することを目指します。具体的な授業の内容は以下の通りです。

第1回 ガイダンスとイントロダクション:『永遠平和のために』概説、授業の目的と進め方の説明。
第2回  輪読:『永遠平和のために』「第一、第二、第三予備条項」
――平和を実現するための準備事項(前半)――
第3回 輪読:『永遠平和のために』「第四、第五、第六予備条項」
――平和を実現するための準備事項(後半)――
第4回 輪読:『永遠平和のために』「第一確定条項」――平和を実現するための政治体制――
第5回 輪読:『永遠平和のために』「第二確定条項」――平和を実現するための国家間連合――
第6回 輪読:『永遠平和のために』「第三確定条項」――平和を実現するための対外政策――
第7回 輪読:『永遠平和のために』「第一追加条項」――平和の可能性を保証する神――(前半)
第8回 輪読:『永遠平和のために』「第一追加条項」――平和の可能性を保証する神――(後半)
第9回 輪読:『永遠平和のために』「第二追加条項」+中間総括
第10回 輪読:『永遠平和のために』付録1――道徳と政治の不一致――(前半)
第11回 輪読:『永遠平和のために』付録1――道徳と政治の不一致――(後半)
第12回 輪読:『永遠平和のために』付録2
――公開性の原則に基づく道徳と政治の一致――(前半)
第13回 輪読;『永遠平和のために』付録2
――公開性の原則に基づく道徳と政治の一致――(後半)
第14回 輪読:カントの平和論関連論文の検討 or 予備日
第15回 授業のまとめ

※上記のプランはあくまでも一つの目安です。セミナー形式で行う授業のため、授業の進度は受講者との議論の性質に大きく左右されます。予定より早く進んだ場合は関連論文を検討する時間を増やし、予定より遅くしか進まなかった場合は関連論文の検討をカットする予定です。

(進め方)1回につき教科書を5~20頁程度ずつ読み進めていきます。毎回指名した受講者に教科書の内容をレジュメにまとめて発表してもらいます。次に、受講者の発表に対して担当教員が簡単なフィードバックを行います。その上で、事前に集めた受講者の質問に答えながら教科書の内容について参加者全員で議論していきます。 

※なお、受講者数によっては授業の進め方を変える可能性があります。受講者が少ない場合、担当教員も何回かレジュメ発表をいたします。受講人数が多い場合、レジュメ当番を設定せずに、担当教員の解説と参加者全体の議論のみで授業を進める可能性もあります。
実務経験を活かした
授業内容
(実務経験内容も含む)
/Course content utilizing practical experience
授業時間外の学習
(予習・復習等)(1,000文字以内)
/Preparation and review outside class(up to 1,000 letters)
(予習)
 教科書を読み、毎回の事前課題を作成・提出すること。レジュメ当番を設定する場合、レジュメ当番の事前課題は教科書の内容を要約したレジュメ(A4用紙1~2枚)の作成である。それ以外の受講者には、教科書の内容に関する質問・疑問点・論点を書いたレジュメの提出を毎回課す。事前課題の提出がない場合、その回の平常点は与えない。

(復習)
 発表者のレジュメや授業でとったノートを見返しながら、授業で扱った教科書の箇所を読み直し、理解を深めること。
成績評価方法
および評価基準
(最低達成基準を含む)
(1,000文字以内)
/Evaluation and grading
(up to 1,000 letters)
(評価方法)
平常点:授業中での発表・議論への貢献 60%
期末レポート(2000~2500字程度) 40%:詳しいテーマと書き方は授業中に説明する。

(最低達成基準)
a.最低でも15回のうち12回以上の授業に積極的に参加していること。
b.期末レポートが受理されていること。
オフィスアワー:
授業相談(1,000文字以内)
/Office hours(up to 1,000 letters)
火曜18:00-19:00。その他の時間に質問・相談がある場合はメールでアポイントメントを取ってください。
学生へのメッセージ(1,000文字以内)
/Message for students(up to 1,000 letters)
世界から戦争を失くすのは簡単なことではありません。おそらくそのためには、個人の道徳的改善と適切な政治体制の樹立の両方が必要です。この二つの要素をバランスよく論じた点にカントの平和論の特色があります。カントのテキストは難解なことで知られていますが、一緒一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
その他
/Others
セミナー形式の授業なので、受講希望者が一定数(15~20人程度)を超えた場合は抽選を行います。受講希望者は第1回の授業には必ず出席してください。2回目以降からの履修は特別な事情がない限りは認めません。
キーワード
/Keywords
ドイツ倫理学、カント倫理学、戦争倫理学、憲法第9条、戦争