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講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
英米倫理学 | ||
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英文授業科目名 /Course title (English) |
Anglo-American Ethics | ||
科目番号 /Code |
HSS609z | ||
開講年度 /Academic year |
2023年度 | 開講年次 /Year offered |
3/4 |
開講学期 /Semester(s) offered |
後学期 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
情報理工学域 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
総合文化科目 | ||
開講類・専攻 /Cluster/Department |
情報理工学域 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
増山 浩人 | ||
居室 /Office |
東1-511 | ||
公開E-mail |
masuyama.h@bunka.uec.ac.jp | ||
授業関連Webページ /Course website |
なし | ||
更新日 /Last update |
2023/09/08 14:57:22 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標(2,000文字以内) /Themes and goals(up to 2,000 letters) |
(主題)サンデルの『実力も運のうち』を読む。 マイケル・サンデルはハーバード大学で教鞭をとる政治哲学者で、いわゆる共同体主義の支持者として知られています。共同体主義とは、リベラリズムが支持していた個人主義的な人間観を批判しつつ、共同体の価値を重んじる政治思想のことです。『実力も運のうち 能力主義社会は正義か?』(2020、原題 The Tyranny of Merit: What's Become of the Common Good)において、サンデルは共同体主義に基づいてアメリカの競争社会を強く批判しました。 この授業ではサンデルの『実力も運のうち』をセミナー形式で輪読します。このことを通じて、「公平な競争は我々を幸福にするのだろうか?」という問いについてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。 (達成目標) (1)サンデルの共同体主義とそれに基づく競争社会批判のポイントを理解すること。 (2)倫理学の古典の日本語訳を独力で読むためのテクニックを身に着けること。 (3)倫理学の問題について他者と議論できるようになること。 (4)「公平な競争は我々を幸福にするのだろうか?」という問いについて自分なりの意見を持てるようになること。 |
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前もって履修 しておくべき科目(1,000文字以内) /Prerequisites(up to 1,000 letters) |
なし。 |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目(1,000文字以内) /Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters) |
なし。ただし、「倫理学A」および「倫理学B」と本授業の内容には密接な関連があります。 |
教科書等(1,000文字以内) /Course textbooks and materials(up to 1,000 letters) |
(教科書) マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 www.amazon.co.jp/dp/4150506027 授業は教科書に基づいて進めるので、教科書は必ず購入し、2回目以降の授業に参加する際には持参してください。 (9月8日更新)教科書が文庫化されました。1300円で買えます。 (参考文献) マイケル・サンデル『これから正義の話をしよう』、早川書房、2012年 |
授業内容と その進め方(2,000文字以内) /Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters) |
(授業内容) この授業ではサンデルの『実力も運のうち』をゆっくり読み進めていくことで、サンデルが自説を展開するプロセスを丁寧に見ていきます。このことによって、「競争社会の何が悪いのか?」という問いに対してサンデルが与えた答えをいわばその証明手続きまで含めて理解することを目指します。具体的な授業の内容は以下の通りです。 【第1回】 ガイダンスとイントロダクション:『実力も運のうち』概説、授業の目的と進め方 【第2回】 輪読:『実力も運のうち』第1章「勝者と敗者」 ――なぜドナルド・トランプは大統領選に当選したのか?―― 【第3回】 輪読:『実力も運のうち』第2章「「偉大なのは善良だから」――能力の道徳の簡単な歴史――」(1) ――聖書からマックス・ウェーバーまで―― 【第4回】 輪読:『実力も運のうち』第2章「「偉大なのは善良だから」――能力の道徳の簡単な歴史――」(2) ――20世紀以降のアメリカにおける摂理主義―― 【第5回】 輪読:『実力も運のうち』第3章「出世のレトリック」 ――「努力すれば報われる」というスローガンに潜む能力主義の理想―― 【第6回】 輪読:『実力も運のうち』第4章「学歴偏重主義――容認されている最後の偏見」(1) ――真の平等を実現するための手段としての教育?―― 【第7回】 輪読:『実力も運のうち』第4章「学歴偏重主義――容認されている最後の偏見」(2) ――学歴が社会を分断する―― 【第8回】 輪読:『実力も運のうち』第5章「成功の倫理学」(1) ――能力主義の理想が持つ欠陥を指摘する―― 【第9回】 輪読:『実力も運のうち』第5章「成功の倫理学」(2) ――ハイエクとロールズのリベラリズム―― 【第10回】 輪読:『実力も運のうち』第5章「成功の倫理学」(3) ――二つのリベラリズムに潜む能力主義―― 【第11回】 輪読:『実力も運のうち』第6章「選別装置」(1) ――格差と分断を拡大する装置としての大学受験―― 【第12回】 輪読:『実力も運のうち』第6章「選別装置」(2) ――「合格者をくじで選ぶ」というサンデルの新たな提案―― 【第13回】 輪読:『実力も運のうち』第7章「労働を承認する」(1) ――能力主義に基づく労働者階級の過小評価―― 【第14回】 輪読:『実力も運のうち』第7章「労働を承認する」(2) ――労働の尊厳と貢献的正義―― 【第15回】 輪読:『実力も運のうち』結論「能力と共通善」+全体のまとめ ※セミナー形式で行う授業のため、授業の進度は受講者との議論の性質に大きく左右されます。上記のプランはあくまでも一つの目安です。予定より早く進んだ場合、サンデルの他の論文や著作の一部を読む予定です。 (進め方) 1回につき教科書を20~40頁程度ずつ読み進めていきます。毎回指名した受講者に教科書の内容をレジュメにまとめて発表してもらいます。次に、受講者の発表に対して担当教員が簡単なフィードバックを行います。その上で、事前に集めた受講者の質問に答えながら教科書の内容について参加者全員で議論していきます。 ※受講者数によっては授業の進め方を変える可能性があります。受講者が少ない場合、担当教員も何回かレジュメ発表をする可能性があります。受講人数が多い場合、レジュメ当番を設定せずに、担当教員の解説と参加者全体の議論のみで授業を進める可能性があります。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
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授業時間外の学習 (予習・復習等)(1,000文字以内) /Preparation and review outside class(up to 1,000 letters) |
(予習) 教科書を読み、毎回の事前課題を作成・提出すること。発表当番の事前課題は、教科書の内容を要約したレジュメ(A4用紙1~2枚)の作成である。それ以外の受講者には、教科書の内容に関する質問・疑問点・論点を書いたレジュメの提出を毎回課す。事前課題の提出がない場合、その回の平常点は与えない。 (復習) 発表者のレジュメや授業でとったノートを見返しながら、授業で扱った教科書の箇所を読み直し、理解を深めること。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) (1,000文字以内) /Evaluation and grading (up to 1,000 letters) |
(評価方法) 平常点:授業中での発表・議論への貢献 60% 期末レポート(2000~2500字程度) 40%:詳しいテーマと書き方は授業中に説明する。 (最低達成基準) a.最低でも15回のうち12回以上の授業に積極的に参加していること。 b.期末レポートの点数が6割を超えていること。 |
オフィスアワー: 授業相談(1,000文字以内) /Office hours(up to 1,000 letters) |
火曜18:00-19:00。その他の時間に質問・相談がある場合はメールでアポイントメントを取ってください。 |
学生へのメッセージ(1,000文字以内) /Message for students(up to 1,000 letters) |
電通大では、類分け、プログラム分け、研究室配属が学業成績の高低に基づいて行われています。その点で、みなさんは入学後も同級生達と常に競争させ続けられていると言えます。しかし、この競争はみなさんの人生にどのような影響を与えているのでしょうか。サンデルの議論をてがかりにして、競争が我々の人生に与えるプラス面とマイナス面を一緒に考えていきましょう。 |
その他 /Others |
セミナー形式の授業なので、受講希望者が一定数(15~20名程度)を超えた場合は抽選で受講者制限を行います。受講希望者は第1回の授業には必ず出席してください。2回目以降からの履修は特別な事情がない限りは認めません。 |
キーワード /Keywords |
サンデル、リベラリズム、共同体主義、競争社会、倫理 |