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講義概要/Course Information
2024/06/20 現在

科目基礎情報/General Information
授業科目名
/Course title (Japanese)
倫理学A
英文授業科目名
/Course title (English)
Ethics A
科目番号
/Code
HSS302z
開講年度
/Academic year
2024年度 開講年次
/Year offered
2/3/4
開講学期
/Semester(s) offered
前学期 開講コース・課程
/Faculty offering the course
情報理工学域
授業の方法
/Teaching method
講義 単位数
/Credits
2
科目区分
/Category
総合文化科目
開講類・専攻
/Cluster/Department
情報理工学域
担当教員名
/Lecturer(s)
中野 愛理
居室
/Office
特にありません。
公開E-mail
/e-mail
na004414@gl.cc.uec.ac.jp
授業関連Webページ
/Course website
特にありません。
更新日
/Last update
2024/03/15 15:04:25 更新状況
/Update status
公開中
/now open to public
講義情報/Course Description
主題および
達成目標(2,000文字以内)
/Themes and goals(up to 2,000 letters)
主題:規範倫理学の様々な立場
本講義では、Mark TimmonsのMoral Theory: An Introduction (3rd., 2022)に沿って、倫理学の様々な立場を学びます。

倫理学は、行為の良し悪しや、人の道徳的善悪、そして正しい道徳的知識の基準を問う学問です。一般的な疑問文で言えば「私は何をなすべきか」「どのような人間になるべきか」という問いになるでしょう。

これらの問いに対しては、何にどのような理由で価値を置くかによって様々な回答が可能です。倫理学のもう一つの課題は、それらの回答の妥当性を評価することです。どの程度まで説得力があり、どの点で説得力を欠いているのか。こうしたことを論じることにより、より説得力のある理論を構築することができます。

達成目標:
・様々な道徳的理論の立場を説明し、かつその理論上の利点と不足点を説明できるようになること
・それらを用いて、身の回りの道徳的事象を説明できるようになること
前もって履修
しておくべき科目(1,000文字以内)
/Prerequisites(up to 1,000 letters)
特にありません。
前もって履修しておくこ
とが望ましい科目(1,000文字以内)
/Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters)
特にありません。
教科書等(1,000文字以内)
/Course textbooks and materials(up to 1,000 letters)
教科書として購入義務のある本はありません。
講義は概ねMark Timmons, Moral Theory: An Introduction (3rd),  Lanham, Md.: Rowman & Littlefield Publishers, 2022に沿って進みますが、随時Google Classroom にて資料を配布します。

倫理学に興味のある学生には参考書として以下を薦めます:

1)赤林朗・児玉聡『入門・倫理学』勁草書房, 2018
2)柘植尚則『プレップ倫理学 増補版』弘文堂, 2021
3)神崎宜次他3名『倫理学』, 昭和堂, 2023.
4)加藤尚武『現代倫理学入門』講談社, 1998
5)伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』名古屋大学出版会, 2008
6)佐藤岳詩『メタ倫理学入門』勁草書房, 2018
7)ジェームズ・レイチェルズ他1名 『新版 現実をみつめる道徳哲学』, 次田憲和訳, 晃洋書房, 2017.

授業内容と
その進め方(2,000文字以内)
/Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters)
授業内容:以下のテーマを順に扱います。

第1回 イントロダクション:倫理学の問題系
第2回 神命論:「道徳的行為の正しさは神の命令に依存する」
第3回 相対主義(1):「道徳的行為の正しさは人の属する文化に依存する」
第4回 相対主義(2):道徳相対主義の理論に制限を加える
第5回 自然法論(1):「道徳的行為の正しさは自然法に依存する」
第6回 自然法論(2):アクィナスと二重結果の原理
第7回 自然法論(3):具体的適用と理論の評価
第8回 帰結主義(1):「道徳的行為の正しさは結果の量や質に依存する」
第9回 帰結主義(2):ミルとベンサムによる古典的功利主義
第10回 帰結主義(3):現代的展開としての規則功利主義
第11回 倫理的利己主義:「道徳的行為の正しさは自分の幸福に寄与するかに依存する」
第12回 カント倫理学(1):「道徳的行為の正しさは人間の尊厳を尊重するかどうかに依存する」
第13回 カント倫理学(2):仮言命法と定言命法
第14回 カント倫理学(3):具体的適用と理論の評価
第15回 徳倫理とケア倫理:「道徳的行為の正しさは有徳な人がそれをなすかどうかに依存する」

進め方:
配布資料に基づき説明を行います。授業の終わりには授業内課題に回答する必要があります。次の授業の冒頭で、特に重要な回答に対する応答を行います。
実務経験を活かした
授業内容
(実務経験内容も含む)
/Course content utilizing practical experience
授業時間外の学習
(予習・復習等)(1,000文字以内)
/Preparation and review outside class(up to 1,000 letters)
配布資料の内容を各自復習してノートに整理してください。試験対策として、各回で扱う基本的概念を説明できるようにしておくことが重要です。

成績評価方法
および評価基準
(最低達成基準を含む)
(1,000文字以内)
/Evaluation and grading
(up to 1,000 letters)
授業課題(20%)、期末試験(80%)

授業内課題について:ほぼ毎講義で授業内課題を課します。(Google Classroomで提出)この提出で出欠を判定します。

期末試験について:以下の2点を採点基準とします。
1)授業で学んだ基本用語や議論を説明できるか
2)それを身の回りの道徳的事象に適用し説明できるか

授業内容を全くまたはほとんど反映していない回答は評価の対象となりません。
オフィスアワー:
授業相談(1,000文字以内)
/Office hours(up to 1,000 letters)
授業内課題内に質問欄を設けます。または授業前後に声をかけてください。
学生へのメッセージ(1,000文字以内)
/Message for students(up to 1,000 letters)
何かについて「よい」と考えることは日常生活で無数にあることです。例えば、新しいMacが旧型のそれよりもよい、次の空きコマは読書をして過ごすのがよい、選挙にいくのはよい、など。こうした無数の「よい」という判断を根拠づけているものをそれぞれ精査してみると、異なる根拠から支持されていることに気づくことができます。それぞれ何か他のことを達成するための手段として、将来における自分の価値をより高めるものとして、国民の義務を果たすものとして、よいと考えることができます。この中でどのような根拠が最も強いのでしょうか。どのような意味でそれは他の価値よりも高いのでしょうか。さらにはどのような理由で、価値の間に序列を設けることが正当化されるのでしょうか。倫理学はこうした日常的に私たちが用いている「〜はよい/悪い」といった言葉を精査することでよさの概念を明晰にする試みです。ぜひ身の回りの事象に学んだ知識を適用しながら理解を深めてください。
その他
/Others
授業中にGoogle Classroom へ課題を提出することになるため、対応可能な端末を持参してください。
キーワード
/Keywords
規範倫理学、神命論、相対主義、自然法論、帰結主義(功利主義)、利己主義、カント倫理学、徳倫理とケア倫理