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講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
外国文学 | ||
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英文授業科目名 /Course title (English) |
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科目番号 /Code |
HSS319z | ||
開講年度 /Academic year |
2024年度 | 開講年次 /Year offered |
2/3/4 |
開講学期 /Semester(s) offered |
前学期 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
情報理工学域 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
総合文化科目 | ||
開講類・専攻 /Cluster/Department |
情報理工学域 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
西崎 憲 | ||
居室 /Office |
なし | ||
公開E-mail |
hisano@uec.ac.jp | ||
授業関連Webページ /Course website |
なし | ||
更新日 /Last update |
2024/03/22 12:48:46 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標(2,000文字以内) /Themes and goals(up to 2,000 letters) |
(a) 主題 恐怖をおぼえない人間というものを想像できるでしょうか。たとえば真っ暗な山道で向こうから白い服の人が走って近づいてくるといったときに、動揺しないでいられる人間ははたしているものでしょうか。 物心ついた人間でそういう人間はおそらく有史以来ひとりもいないように思われます。そしてどうしてそのようなときに恐怖を覚えるのかについて、我々はまだ説明できていません。 人種や時代を問わず「恐怖」はあらゆる人間のなかに存在するように見えます。イギリスは小説が生まれた国ですが、もっとも恐怖小説が書かれた国でもあります。恐怖を主眼にした小説「ゴシックロマンス」が生まれたのもイギリスで、同時にイギリスは当時もっとも科学が進んだ国でした。そしてそのころ言われたのは、電灯が部屋の隅々まで照らすようになったら幽霊はいなくなるだろうということでした。 はたして幽霊はいなくなったでしょうか。電灯が暗闇を追いやったとき幽霊は追い払われたでしょうか。いや、そうはならなかったようです。電灯では人間の心のなかの暗闇は追いやることはできませんでした。そしてその幽霊は心の闇のほうに引っ越ししました。イギリスの文学を見るかぎり、そちらには相変わらず得体のしれないものが潜んでいるように思えます。 本授業では、「熊いじめ」や「公開処刑」「切り裂きジャック」などのイギリスの社会的事象を見つつ、ホレス・ウォルポールのゴシックロマンス『オトラントの城』やダニエル・デフォーの「ミセス・ヴィーウの幽霊」を起点に、時代を下りながらイギリス文学中の「恐怖」を検討し、その恐怖をサーチライトとして人間の姿を逆に照らしてみます。恐怖という「非合理」がなぜこれほど長く人間に影響を与えつづけるか、その考察を通じて、人間精神というものへの理解を深めます。 (b) 達成目標 合理的に解釈できないものがどのように人間に影響を与えるかということについて考えることによって、非合理性を含む人間というものの「充足」「幸福」を実現するための知識を蓄積する。そして蓄積によって自己の説を発表する段階に至ることを目標にします。 |
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前もって履修 しておくべき科目(1,000文字以内) /Prerequisites(up to 1,000 letters) |
なし |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目(1,000文字以内) /Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters) |
なし |
教科書等(1,000文字以内) /Course textbooks and materials(up to 1,000 letters) |
教科書 なし 参考書『怪奇小説日和─黄金時代傑作選』西崎憲編訳、ちくま文庫 |
授業内容と その進め方(2,000文字以内) /Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters) |
(a) 授業内容 1)「ミセス・ヴィールの幽霊」はじめての短篇小説は、はじめてのゴーストストーリーだった 2)はじめてのゴシック小説『オトラントの城』 3)ゴシックロマンスの流行 『マンク』『放浪者メルモス』 4)ヴィクトリア朝のゴーストストーリー、メアリー・シェリー、ディケンズ、レ・ファニュ 5)エドガー・アラン・ポーのイギリス性と重要性 6)『ドラキュラ』の意味 7)ゴーストストーリーの黄金時代1 ヴィクトリア朝後期 8)ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」 9)ダークファンタジーの先駆け W・H・ホジスン、M・P・シールなど。 10)ゴーストストーリーの黄金時代2 エドワード朝 11)モダニズムとゴーストストーリー ヴァージニア・ウルフ、エリザベス・ボウエン 12)ファンタジーとゴーストストーリー マーヴィン・ピーク、デヴィッド・リンゼイ 13)20世紀後半および21世紀のイギリス小説における恐怖 14)ゴーストストーリーとイギリス性 15)イギリスのゴーストストーリー総括 (b) その進め方 プロジェクターに関連する映像を映す。 原文テキストのネイティヴの朗読などを聴かせる。 集中をうながすために検討する作品の一部を音楽つきで学生に朗読してもらう。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
翻訳者、小説家、書籍編集者、電子書籍レーベル主宰者としての経験を、授業での解説に反映させる。 |
授業時間外の学習 (予習・復習等)(1,000文字以内) /Preparation and review outside class(up to 1,000 letters) |
学習内容を復習し、他のソースと関連させつつ理解を深めてください。自身で授業で扱った作品や関連する作品をたくさん読んでください。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) (1,000文字以内) /Evaluation and grading (up to 1,000 letters) |
レポート100% 「恐怖」という主題でレポートを書いてもらう。内容と形式を総合して評価を行う。 授業から学んだものが反映していて、文章に破綻のないものを最低基準とする。 |
オフィスアワー: 授業相談(1,000文字以内) /Office hours(up to 1,000 letters) |
電子メールで受け付ける |
学生へのメッセージ(1,000文字以内) /Message for students(up to 1,000 letters) |
文学のなかの「恐怖」について考えることは、自分について考えることにつながります。そして単純に怖い話というのは面白いものですし、本に親しむことは一生の娯楽を手にいれることでもあります。一緒に学んでいきましょう。 |
その他 /Others |
なし |
キーワード /Keywords |
イギリス、小説、恐怖、怖い話、文学史、読書 |