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講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
英米倫理学 | ||
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英文授業科目名 /Course title (English) |
Anglo-American Ethics | ||
科目番号 /Code |
HSS608z | ||
開講年度 /Academic year |
2024年度 | 開講年次 /Year offered |
3/4 |
開講学期 /Semester(s) offered |
後学期 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
情報理工学域 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
総合文化科目 | ||
開講類・専攻 /Cluster/Department |
情報理工学域 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
中山 弘太郎 | ||
居室 /Office |
A棟402 | ||
公開E-mail |
remember.fdd@keio.jp | ||
授業関連Webページ /Course website |
クラスコード:xqr75vd | ||
更新日 /Last update |
2024/09/30 22:29:14 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標(2,000文字以内) /Themes and goals(up to 2,000 letters) |
(主題)マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』の講読。 現代の代表的な政治哲学者のひとりであるマイケル・サンデルは共同体主義の支持者として知られています。個人主義と競争を強調する自由主義の立場を批判し、個々の共同体のもつ価値の重要性を訴えるサンデルの問いかけは、個人主義と能力主義に基づく競争という自由主義的な価値観がある種の「当たり前」になっている現代の日本においても重要な意義を有しています。 この授業ではセミナー形式で『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を輪読していきます。「公平な競争と能力主義」という切り口から、社会のあるべき姿について一緒に考えていきましょう。 (達成目標) (1)サンデルの共同体主義とそれに基づく競争社会批判のポイントを理解すること。 (2)自由主義と共同体主義の間の対立点を把握した上で、あるべき社会の姿について自分の意見を持てるようになること。 (3)倫理学の古典を分析的に読むための基本的な手法を習得すること。 (4)倫理学のトピックについて他者と議論できるようになること。 |
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前もって履修 しておくべき科目(1,000文字以内) /Prerequisites(up to 1,000 letters) |
なし |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目(1,000文字以内) /Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters) |
なし。ただし、「倫理学A」および「倫理学B」と本授業の内容には密接な関連があります。 |
教科書等(1,000文字以内) /Course textbooks and materials(up to 1,000 letters) |
マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 https://amzn.asia/d/5e698DA 授業は教科書に基づいて進めるので、教科書は必ず購入し、2回目以降の授業に参加する際には持参してください。 (参考文献)マイケル・サンデル『これから正義の話をしよう』、早川書房、2012年 |
授業内容と その進め方(2,000文字以内) /Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters) |
(授業内容) この授業ではサンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』をセミナー形式で一緒に読み進めていくことを通じて、サンデルによる論証を丁寧に再構成し、分析していきます。こうした分析的な読解を通じて、競争社会の抱える問題を理解するだけではなく、さらにその背景にあるサンデルのより広範な倫理思想を把握することを目指します。具体的な授業の内容は以下のとおりです。 【第1回】 ガイダンスとイントロダクション:『実力も運のうち』概説と「序論」、授業の目的と進め方 【第2回】 輪読:『実力も運のうち』第1章「勝者と敗者」 ――「「ポピュリスト」と呼ばれる者たちが拾い上げた不満とは何だろうか」―― 【第3回】 輪読:『実力も運のうち』第2章「「偉大なのは善良だから」――能力の道徳の簡単な歴史――」(1) ――「歴史的に能力主義はどのように正当化されてきたのだろうか」―― 【第4回】 輪読:『実力も運のうち』第2章「「偉大なのは善良だから」――能力の道徳の簡単な歴史――」(2) ――「20世紀以降のアメリカにおいて能力主義はどのように正当化されてきたのだろうか」―― 【第5回】 輪読:『実力も運のうち』第3章「出世のレトリック」 ――「どのようなレトリックによって能力主義は刷りこまれてきたのだろうか」―― 【第6回】 輪読:『実力も運のうち』第4章「学歴偏重主義――容認されている最後の偏見」(1) ――「教育は真の平等を実現するのだろうか」―― 【第7回】 輪読:『実力も運のうち』第4章「学歴偏重主義――容認されている最後の偏見」(2) ――「学歴はどのようにして社会に分断を生んでしまうのだろうか」―― 【第8回】 輪読:『実力も運のうち』第5章「成功の倫理学」(1) ――「能力主義の理想のいったい何が問題なのだろうか」―― 【第9回】 輪読:『実力も運のうち』第5章「成功の倫理学」(2) ――「リベラリズムと能力主義はどのように結びつくのだろうか」―― 【第10回】 輪読:『実力も運のうち』第5章「成功の倫理学」(3) ――「二種類のリベラリズムが抱える問題とは何だろうか」―― 【第11回】 輪読:『実力も運のうち』第6章「選別装置」(1) ――「なぜ、どのようにして大学受験は格差と分断を拡大してしまうのだろうか」―― 【第12回】 輪読:『実力も運のうち』第6章「選別装置」(2) ――「能力主義の問題を乗り越える受験制度の設計は可能だろうか」―― 【第13回】 輪読:『実力も運のうち』第7章「労働を承認する」(1) ――「能力主義という前提がどのようにして労働者階級の過小評価を導くのか」―― 【第14回】 輪読:『実力も運のうち』第7章「労働を承認する」(2) ――「能力主義の問題を乗り越えて労働の価値を位置づけ直すにはどうしたらいいだろうか」―― 【第15回】 輪読:『実力も運のうち』結論「能力と共通善」+全体のまとめ ※セミナー形式で行う授業のため、授業の進度は受講者との議論の性質に大きく左右されます。上記のプランはあくまでも一つの目安です。予定より早く進んだ場合、サンデルの他の論文や著作の一部を読む予定です。 (進め方) 1回につき教科書を20~40頁程度ずつ読み進めていきます。毎回指名した受講者に教科書の内容をレジュメにまとめて発表してもらいます。次に、受講者の発表に対して担当教員が簡単なフィードバックを行います。その上で、事前に集めた受講者の質問に答えながら教科書の内容について参加者全員で議論していきます。 ※受講者数によっては授業の進め方を変える可能性があります。受講者が少ない場合、担当教員も何回かレジュメ発表をする可能性があります。受講人数が多い場合、レジュメ当番を設定せずに、担当教員の解説と参加者全体の議論のみで授業を進める可能性があります。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
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授業時間外の学習 (予習・復習等)(1,000文字以内) /Preparation and review outside class(up to 1,000 letters) |
(予習) 教科書を読み、毎回の事前課題を作成・提出すること。発表当番の事前課題は、教科書の内容を要約したレジュメ(A4用紙1~2枚)の作成である。それ以外の受講者には、教科書の内容に関する質問・疑問点・論点を書いたレジュメの提出を毎回課す。事前課題の提出がない場合、その回の平常点は与えない。 (復習) 発表者のレジュメや授業でとったノートを見返しながら、授業で扱った教科書の箇所を読み直し、理解を深めること。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) (1,000文字以内) /Evaluation and grading (up to 1,000 letters) |
(評価方法) 平常点:授業中での発表・議論への貢献 60% 期末レポート(2000~2500字程度) 40%:詳しいテーマと書き方は授業中に説明する。 (最低達成基準) a.最低でも15回のうち12回以上の授業に積極的に参加していること。 b.期末レポートの点数が6割を超えていること。 |
オフィスアワー: 授業相談(1,000文字以内) /Office hours(up to 1,000 letters) |
質問・相談等は授業後、もしくは電子メールで受け付ける。 |
学生へのメッセージ(1,000文字以内) /Message for students(up to 1,000 letters) |
学校内のテストに始まり、受験や研究室配属、就職、そして昇進など、私たちはしばしば成績の高低によって測られながら生きています。こうした能力に基づく競争はすっかり私たちの社会のなかで「当たり前」になっているといえるでしょう。この授業ではマイケル・サンデルという哲学者が書いた一冊の本をツールとして使うことで、能力主義と競争が私達自身の人生と社会に与える影響を分析的に論じる方法を身に着けていきましょう。 |
その他 /Others |
セミナー形式の授業なので、受講希望者が一定数(15~20名程度)を超えた場合は抽選で受講者制限を行います。受講希望者は第1回の授業には必ず出席してください。2回目以降からの履修は特別な事情がない限りは認めません。 |
キーワード /Keywords |
サンデル、リベラリズム、共同体主義、競争社会、倫理 |