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講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
倫理学と哲学の間 | ||
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英文授業科目名 /Course title (English) |
Between Ethics and Philosophy | ||
科目番号 /Code |
HSS608z | ||
開講年度 /Academic year |
2025年度 | 開講年次 /Year offered |
3/4 |
開講学期 /Semester(s) offered |
後学期 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
情報理工学域 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
総合文化科目 | ||
開講類・専攻 /Cluster/Department |
情報理工学域 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
中野 愛理 | ||
居室 /Office |
特にありません。 | ||
公開E-mail |
na004414@gl.cc.uec.ac.jp | ||
授業関連Webページ /Course website |
特にありません。 | ||
更新日 /Last update |
2025/03/17 23:42:26 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標(2,000文字以内) /Themes and goals(up to 2,000 letters) |
主題:カントの平和論 本授業では、近代を代表する哲学者イマヌエル・カントの平和論である『永遠平和のために』(1795)を読み解き、世界平和のために国家が国内外に対しいかなる貢献をなしうるのかについて学びます。 カントが生きていた18世紀のヨーロッパは激動の時代でした。カントの祖国プロイセンでは、オーストリア継承戦争 (1740-48)、7年戦争(1756-63)、ポーランド分割(1772-95)など、戦争を通じた領土獲得が長らく試みられていました。他方で、啓蒙専制君主であったフリードリヒ2世のもとで、自由で闊達な議論のできる機会が広がってもいました:「啓蒙とは人間が自ら招いた未成年状態から脱することである。...自分自身の知性を用いる勇気を持て!」(カント「啓蒙とは何か」)しかし、隣国でフランス革命(1789)が勃発し、人権宣言(身分制の撤廃)が叫ばれると、プロイセンは急速に保守化します。1792年にはフランスの君主制を救うためオーストリアと共にピルニッツ宣言を発し、フランス内政に干渉を試みます。その後フランスとの戦争を経て、95年にはフランスとバーゼル講和条約を結びます。 このような領土拡大や他国への内政干渉の絶えない時代背景のなか『永遠平和のために』は書かれました。この本からは、国家というものが世界平和のためにいかなる形態であるべきか、何をなすべきであり、何をなすべきでないかを学ぶことができます。確かに、18世紀末の時事的問題に対するリアクションという側面はありますが、その場凌ぎの提言ではなく、人間本性に関わる鋭い洞察に基づいた普遍的な提言として、現代の私たちにも多く学ぶべき点があります。 達成目標:カントによる平和のための国家構想を歴史的・哲学的背景的知識とともに説明できるようになる。 |
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前もって履修 しておくべき科目(1,000文字以内) /Prerequisites(up to 1,000 letters) |
特にありません。 |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目(1,000文字以内) /Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters) |
特になし。 |
教科書等(1,000文字以内) /Course textbooks and materials(up to 1,000 letters) |
教科書:イマヌエル・カント 『永遠平和のために』宇都宮芳明訳, 岩波書店, 1985.(638円) 第2回目までに必ず入手してください 。『永遠平和のために』の翻訳は複数ありますが、授業ではこの版のページ数で課題等を指示しますので必ずこの翻訳を入手してください。同様の理由でKindle版は不可とします。 また、Google Classroom にて資料を掲示しますので毎回確認してください。 購入の必要はありませんが、参考文献として以下を勧めます。 『カントの政治哲学入門:政治における理念とは何か』, 網谷壮介, (白澤社・現代書館, 2018). 『カント『永遠平和のために』を読み直す:どうすれば戦争はなくなるのか』, 寺田俊郎, (現代書館, 2019). 『自分で考える勇気:カント哲学入門』, 御子柴善之, (岩波書店, 2015). Ertl, Wolfgang. The Guarantee of Perpetual Peace, Cambridge UP, 2020. Kleingeld, Pauline. “Kantʼs theory of peace.” In The Cambridge Companion to Kant and Modern Philosophy, edited by Paul Guyer, Cambridge University Press 2007. |
授業内容と その進め方(2,000文字以内) /Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters) |
授業内容:各回以下のテーマに従って進めます。 1. イントロダクション「カントとは誰か?」:その人生と著作 2. カントの認識論と道徳論、『永遠平和のために』序文 3. カントの法論と徳論、『永遠平和のために』予備条項(1)第1・2条項 4. 社会契約論(1)伝統的な社会契約論、『永遠平和のために』予備条項(2)第3~6条項 5. 社会契約論(2)カントの社会契約論、 『永遠平和のために』第1確定条項 6. 共和主義の理念(1)さまざまな政治制度 7. 共和主義の理念(2)理性の公共的使用、『永遠平和のために』第2確定条項 8. 国際法と世界市民法(1)国際法、『永遠平和のために』第3確定条項 9. 国際法と世界市民法(2)世界市民法、クラインゲルト(1)歴史的文脈 10. クラインゲルト(2)カントの平和論の特徴 11.『永遠平和のために』第1補説(1)平和構想のバックグラウンド 12. 『永遠平和のために』第1補説(2)神の摂理と人間の努力の調和 13. 『永遠平和のために』第2補説 14. 『永遠平和のために』付録 15. まとめ、期末試験 進め方: 資料をもとに講師が説明を行います。毎回、授業内課題として内容に関する簡単な記述問題を課します。また、授業内でわからなかった箇所については課題内の質問欄から積極的に尋ねてください。次回の授業冒頭で講師が全体に向けて応答します。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
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授業時間外の学習 (予習・復習等)(1,000文字以内) /Preparation and review outside class(up to 1,000 letters) |
毎授業の終わりに次回までに行う課題を指示します。予習として、指定された資料を読み、わからない部分に線を引いておくこと。また復習として、教科書及び資料を繰り返し読み、内容理解に努めること。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) (1,000文字以内) /Evaluation and grading (up to 1,000 letters) |
平常点(リアクション・ペーパー):30%、期末試験:70% 毎回の授業終わりに課題をGoogle Classroomに提出することになります。この提出で出欠を判定し、成績の30%に反映します。著しく内容が少ない、AIによる代筆、白紙の回答などは未提出扱いとします。 期末レポートの評価においては内容理解だけでなく、構成・形式面も重視します。講義内でも書き方について細かく指示を出しますが、参考書に示した本などの入門書を読み、レポートの書き方を予習しておくことが望ましいです。また、締め切りを超過したレポートはどのような理由であれ受け取りませんので、余裕を持って準備してください。 |
オフィスアワー: 授業相談(1,000文字以内) /Office hours(up to 1,000 letters) |
授業内課題内に質問欄を設けます。または授業の前後に声をかけてください。 |
学生へのメッセージ(1,000文字以内) /Message for students(up to 1,000 letters) |
平和とは何かという問題について、社会契約論の潮流にあるカントの思想に触れ、それによって一つの理想型とその理論的根拠を学びましょう。 |
その他 /Others |
授業中にGoogle Classroom へ課題を提出することになるため、それに対応可能な端末を持参してください。本講義では課題の作成に生成AIを使用することを禁じます。 |
キーワード /Keywords |
『永遠平和のために』、カント、平和論、社会契約論 |