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講義概要/Course Information
2025/04/25 現在

科目基礎情報/General Information
授業科目名
/Course title (Japanese)
計算と論理の哲学
英文授業科目名
/Course title (English)
Philosophy of Computation and Logic
科目番号
/Code
HSS601z
開講年度
/Academic year
2025年度 開講年次
/Year offered
3/4
開講学期
/Semester(s) offered
後学期 開講コース・課程
/Faculty offering the course
情報理工学域
授業の方法
/Teaching method
講義 単位数
/Credits
2
科目区分
/Category
総合文化科目
開講類・専攻
/Cluster/Department
情報理工学域
担当教員名
/Lecturer(s)
秋吉 亮太
居室
/Office
東1-511
公開E-mail
/e-mail
akiyoshi@uec.ac.jp
授業関連Webページ
/Course website
なし
更新日
/Last update
2025/03/21 10:21:20 更新状況
/Update status
公開中
/now open to public
講義情報/Course Description
主題および
達成目標(2,000文字以内)
/Themes and goals(up to 2,000 letters)
(a)主題
計算と論理に関する哲学的な議論が本講義の主題で、取り上げるトピックにもよりますが、「コンピューター・サイエンスの哲学」や「論理学・数学の哲学」に分類されます。特に、学生さんがこれまでの学習で触れてきたであろう、計算可能性に関連した哲学的な議論が主題の一つです。今年度は、ゲーデルが不完全性定理を証明するために導入した帰納関数論に焦点を当てつつ、ヒルベルト・プログラムの実行不可能性や、人間機械論への反論といった哲学的な帰結を数学的な定理からどのように導出するのかを、丁寧に追っていきます。関連する話題として、計算可能性の形式化として受け入れられている、チューリング・マシンやラムダ計算(チャーチ)を巡る哲学的な議論も紹介したいと思っています。
(b) 目標
計算可能性の理論に関する基本的な理解を身につけて、不完全性定理のような数学的な定理から、哲学的な帰結を引き出す丁寧な思考を理解できるようになることが非常に重要です。どこまでが数学的に証明できることで、どこからが哲学的な帰結なのかを認識できることは、科学について広い視野と深い理解を持つためには重要だと考えます。
前もって履修
しておくべき科目(1,000文字以内)
/Prerequisites(up to 1,000 letters)
特になし。
前もって履修しておくこ
とが望ましい科目(1,000文字以内)
/Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters)
数学の哲学と関連はしますが、必要な知識は授業内で補います。
教科書等(1,000文字以内)
/Course textbooks and materials(up to 1,000 letters)
教科書はとくに用いません。プリントを配布します。資料はすべてWebclassで配布します(原則的に紙での配布はしません)。
授業内容と
その進め方(2,000文字以内)
/Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters)
講義形式で進めます。毎回の授業でリアクションペーパーを書いてもらって、重要なコメントや質問については、次回の授業の冒頭で取り上げます。

1. 背景説明:ヒルベルトの形式主義の哲学と無矛盾性プログラム
2. 帰納関数論と不完全性定理(a):計算可能性と帰納関数論
3. 帰納関数論と不完全性定理(b):コーディング
4. 帰納関数論と不完全性定理(c):表現定理と対角線補題
5. 帰納関数論と不完全性定理(d):第一不完全性定理と第二不完全性定理の概略
6. 不完全性定理の哲学的意義 1(a): ヒルベルト・プログラムへのインパクト
7. 不完全性定理の哲学的意義 1(b): 形式化を巡る問題
8.不完全性定理の哲学的意義 2(c):ゲーデルのギブス講演
9.不完全性定理の哲学的意義 2(d):機械論と反機械論
10.不完全性定理の哲学的意義 2(e):理想化の問題
11.計算可能性の哲学 1:チューリング・マシンのアイディア
12.計算可能性の哲学 2:チューリングのテーゼ
13.計算可能性の哲学 3:チューリング以外のアプローチ
14.計算可能性の哲学 4:「チャーチ=チューリングのテーゼ」
15.まとめ

実務経験を活かした
授業内容
(実務経験内容も含む)
/Course content utilizing practical experience
なし
授業時間外の学習
(予習・復習等)(1,000文字以内)
/Preparation and review outside class(up to 1,000 letters)
講義を十分に理解するには、毎回の授業内容を復習する必要があります。とくに、演習問題については授業時間外にも積極的に取り組むことが求められます。
成績評価方法
および評価基準
(最低達成基準を含む)
(1,000文字以内)
/Evaluation and grading
(up to 1,000 letters)
(a) 授業への参加(リアクションペーパー)30%、学期末レポート70%。
(b) まずは、計算可能性に関する議論が登場した歴史的背景を理解することが重要です。次に、計算可能性に関する理論(帰納関数論)と不完全性定理の概要を掴んで、こうした数学的な定理から哲学的な意義を引き出す議論を丁寧に追うことが非常に重要です。より具体的には、(i)15回の授業のうち、8割の12回に出席して、毎回課されるリアクションペーパーを提出することが30%、(ii)講義内容の正確な理解を示す期末レポートの点が70%となります。レポートの採点基準は上記の点が中心で、合計で70%以上の評価を得ることが最低達成基準です。
オフィスアワー:
授業相談(1,000文字以内)
/Office hours(up to 1,000 letters)
メールでアポイントメントをとってください。
学生へのメッセージ(1,000文字以内)
/Message for students(up to 1,000 letters)
計算可能性や不完全性定理は、受講生が学ぶプログラミング言語と深く関連するトピックであるため、本授業を通じて、これまでに学んだ内容とのつながりを見出してもらえれば幸いです。また、本授業では、数学的な定理から哲学的な帰結を導く過程を丁寧にたどることを重視します。受講生には、この論理的推論のプロセスを実際に体験し、数学と哲学の相互関係を理解してもらうことを期待します。
その他
/Others
なし
キーワード
/Keywords
計算可能性、ゲーデル、不完全性定理、人間機械論、チューリング・マシン、チャーチ=チューリングのテーゼ