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講義概要/Course Information |
科目基礎情報/General Information |
授業科目名 /Course title (Japanese) |
大学院特別講義(’25標準化) | ||
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英文授業科目名 /Course title (English) |
Advanced Lecture on Informatics and Engineering (The International Standardization and the Future of Japan) | ||
科目番号 /Code |
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開講年度 /Academic year |
2025年度 | 開講年次 /Year offered |
全学年 |
開講学期 /Semester(s) offered |
前学期集中 | 開講コース・課程 /Faculty offering the course |
博士前期課程、博士後期課程 |
授業の方法 /Teaching method |
講義 | 単位数 /Credits |
2 |
科目区分 /Category |
大学院基礎教育科目 | ||
開講類・専攻 /Cluster/Department |
全専攻共通 | ||
担当教員名 /Lecturer(s) |
奥野 剛史 | ||
居室 /Office |
東6-401 | ||
公開E-mail |
<okunotsuyoshi@uec>但しuecはuec.ac.jp | ||
授業関連Webページ /Course website |
国際標準化(ルール作り)のための集中講義 | ||
更新日 /Last update |
2025/07/11 11:54:57 | 更新状況 /Update status |
公開中 /now open to public |
講義情報/Course Description |
主題および 達成目標(2,000文字以内) /Themes and goals(up to 2,000 letters) |
■主題 この共同授業は、国が主導する「標準化官民戦略会議」の後押しをうけて、東京外大、東京農工大、電通大からなる西東京三大学連携を基礎に、さらに一橋大学と東京学芸大が協力して実施される日本で初めての画期的な講義です。「標準化」とは、工業規格などの技術の普遍的な基準を確立することであり、技術の普及や発展の前提を整えることを意味します。それはしばしば単なる「規格化」と混同されますが、「標準化」とはそれ自体が国際ルール作りの闘争であり、ダイナミックな交渉や調整のフィールドです。我が国では、この「標準化」への取組みが欧米や中国などに比べて弱かったために、技術開発の面での成功を、国際競争力での優位性に結び付けることに失敗してきたという苦い歴史をもっています。「標準化官民戦略会議」はこうした反省にのっとり、企業経営のトップに「標準化」が技術開発と並行した国際ルール作りの戦場であるという自覚を持たせるとともに、これから国際社会で活躍する若いエリート人材のなかにも、「標 準化」についての理解とセンスを涵養しようと試みています。多摩地区の五つの大学はその問題提起に呼応し、経済産業省や産業界の支援を受けつつ、また文理協働の観点から東京外大のような文系の大学も交えて、今回の特別な集中講義を実現することになりました。 ■達成目標 この授業を通じて、「標準化」(国際ルール作り)の定義、その歴史、さらに具体的な産業ごとにどのような課題が存在しているのかを学びます。経済産業省の課長として「標準化」問題の最前線を知る一橋大学の江藤学先生の基礎的な講義のあとで、機械、電機・電子、通信、バイオなど多様な産業の具体的な事例に即して、そのリアリティを知ることができます。こうした知識を持っていることは、これから就職活動を控えている学生、また現にその真っただ中にいる学生にとって、即効性のある有効な武器になるはずです。 |
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前もって履修 しておくべき科目(1,000文字以内) /Prerequisites(up to 1,000 letters) |
特になし |
前もって履修しておくこ とが望ましい科目(1,000文字以内) /Recommended prerequisites and preparation(up to 1,000 letters) |
特になし |
教科書等(1,000文字以内) /Course textbooks and materials(up to 1,000 letters) |
■教科書 適宜、学習に必要な資料を渡します。 ■参考書 江藤学著『標準化ビジネス戦略大全』日本経済新聞出版、2021年 |
授業内容と その進め方(2,000文字以内) /Course outline and weekly schedule(up to 2,000 letters) |
※本集中講義は、休憩時間を各15分とります。通常の本学授業時間と異なりますので、 注意してください。 (第2時限:10:30~12:00、第3時限:13:00~14:30、第4時限:14:45~16:15、 第5時限:16:30~18:00) 01 9月8日(月)3限 「標準化の基礎」 【対面授業】 担当:江藤学(一橋大学特任教授) ビジネス活動におけるルール作りの重要性を理解したうえで、ルール作りにおいてなぜ標準化が重要なツールとなるのかを、標準化の概念・定義、目的、役割、分類、基本的な便益等の基礎知識を解説しつつ理解していく。特に、身近なものについて標準が活用されていることを理解し、標準の持つ様々な側面と標準がビジネスに与える影響を考える。 02 9月8日(月)4限 「製品基準とビジネス」 【対面授業】 担当:江藤学(一橋大学特任教授) 「標準」のうち最もわかりやすい製品標準を題材に、標準化や規制がビジネスにどのような影響を与えるのかを、様々な事例を見ながら検討する。標準化が基本的には「コストダウン」、「市場拡大」、「差別化」のツールであることを理解する。 03 9月8日(月)5限 「製品基準とビジネス」 【オンライン】 担当:宇山 智哉(世界貿易機関(World Trade Organization:於ジュネーブ)) 標準化そのものとはやや異なるが大きな意味での国際的なルールづくりがどのようになされるかという観点から、WTOについて解説する。WTOの前身のGATTの発端となったブレトンウッズ会議から今年で80年、WTO協定が署名されたマラケシュ会議から30年の節目を迎えるWTOがどのよう に形成され、どのように変容してきたか、その意思決定はどのようになされるか、加盟国や意思決定を支える事務局の動きなどについて実例を踏まえつつ議論する。 04 9月9日(火)2限 「教育データの標準化について」 【オンライン】 担当:北澤 武(青山学院大学教授) GIGAスクール構想の実現により、児童生徒1人1台端末を活用した授業が実践されている。教育現場では、児童生徒の属性や学習履歴など、様々な教育データを蓄積、分析し、教員の指導に役立てたり、児童生徒が自身の学びを振り返ったりすることに役立てようとしている。しかしながら、様々なデータを相互運用するためには、教育データを標準化することが求められており、デジタル庁を中心にその取組が行われている。本講義ではこれらの内容について概説する。 05 9月9日(火)3限 「電機・電子産業分野のCN2050実現へ向けた挑戦~新規事業分野開発とルールメーク~」 【対面授業】 担当:大隅 慶明(パナソニックホールディングス(株)) 電機・電子産業の具体的な事業化プロセスを解説、国際的なルールメークを適用し市場拡大を実現した事例を紹介。最新の国際動向(IoT家電・エネルギー・モビリティ)と標準化の位置付け・活用方法の変化をUPDATE。CN2050を目指す再エネ活用分野での戦略的取組みを解説。最後に学生の皆様にグローバル市場での活躍に向けての期待をお話しする。 06 9月9日(火)4限 「国際標準化の活用による産業競争力強化に向けた日本電機工業会の役割」 【対面授業】 担当:綿貫 宏樹(一般社団法人日本電機工業会) SDGsに代表される社会課題解決型の事業開発に注目が高まる中、一企業だけでの社会課題全体の解決は困難であることから、企業連合である工業会の役割に期待が寄せられている。本講義では、日本電機工業会に於ける産業競争力強化に向けた標準化の取組みや最新トピックス、標準化の仕事のやりがいを、文理協働の観点から文学部出身の講師が紹介する。 07 9月10日(水)3限 「試験方法標準」 【対面授業】 担当:江藤学(一橋大学特任教授) 試験検査標準は、製品標準とは異なるビジネス効果を持つ面もあるが、製品標準と同じビジネス効果も持つ。試験検査標準を活用した製品の差別化事例を中心に、試験検査標準のビジネス活用について学ぶ。 08 9月10日(水)4限 「認証ビジネス」 【対面授業】 担当:江藤学(一橋大学特任教授) 標準化と一体に運用される認証ビジネスについては、市場開拓、企業価値創造、ブランド化などの面でビジネス戦略に取り込まれている。ここでは、認証ビジネスの効果、利用方法、ビジネス上の対策などについて、基本的な考え方を整理する。 09 9月10日(水)5限 「環境保全に資する標準化」 【対面授業】 担当:大野 香代(一般社団法人産業環境管理協会) 近年、気候変動緩和、資源循環の推進、化学物質管理、生物多様性の保全など環境問題は多岐にわたり、これらを解決するための新技術の開発が国際的に行われている。バイオ系、化学系の分野では、日本において、環境モニタリングに用いる計測法や新規素材などの開発が進められているが、これら新技術の性能を担保し、国際市場を獲得するためには、国際標準化が必須となる。そのため、近年、標準化戦略を企業内の重要課題として取り組む企業も増えている。本講義では、特に環境計測に関する標準化活動の成功事例を紹介し、自社の技術を標準化する際に何が必要かについて学ぶ。また、近年ESG投資が盛んになっているが、環境技術への投資を促す仕組みとしてのグリーンボンドの国際標準化についても紹介する。 10 9月11日(木)3限 「スタートアップエコシステムとルールメイキング戦略」 【対面授業】 担当:桜井 駿(株式会社デジタルベースキャピタル) FinTech(金融とITを融合した取り組み)に代表されるように、日本国内でもスタートアップ企業によって新たなサービスや変革が様々な業界にもたらされるようになってきている。市場規模が大きく、規制が厳しい金融・医療・不動産といった業界では、規制当局・既存の大手企業・スタートアップの3者による顧客保護を念頭に置いた連携促進が不可欠である。スタートアップ台頭によるビジネス変化の本質から、標準化までの動向を日本初のPropTech(不動産テック)特化型ベンチャーキャピタルを運営し、コンサルタントでもある立場から紹介する。 11 9月11日(木)4限 「社会変化とクルマに対する標準の役割拡大」 【対面授業】 担当:岡本 秀樹(農研機構) 車が純粋にメカニカルなマシンだった時代から、今では、インターネットにつながる”動く情報機器”に進化してきた。その間に、社会が自動車に求めるものも大きく変わった。この変化の間で、自動車に対する標準の役割も拡大し進化し続けてきた。さらに、これから社会から求められることに対応するための標準には、どんな役割が加わっていくのだろうか。また、自動車以外のクルマへの展開はどのようになっているのだろうか。標準の基本を通して、見ていく。 12 9月11日(木)5限 「通信の標準化」 【対面授業】 担当:奥村 幸彦(ドコモ・テクノロジ株式会社) 電気通信システムにとって国際標準化は必須であり、ネットワーク・端末間、ネットワーク・ネットワーク間の通信路(回線)の仕様や通信接続手順などが標準化の対象である。移動通信に代表される無線通信システムの標準化では、使用する無線周波数の確保(または拡大)と無線リソースの有効利用という技術的課題があり、新しい技術の導入を可能にする標準化が世界規模の枠組で継続して推進されてきている。本講義では、これらの国際標準化の基本と最新動向について学ぶ。 13 9月12日(金)3限 「農林水産省が推進する農林水産・食品分野の国際標準化」 【対面授業】 担当:山田 健太郎(農林水産省) 日本で用いられる農林水産物・食品分野の代表的な規格として、日本農林規格(JAS)が挙げられる。1950年にJAS法が制定され、75年が経過した。当初は製品の品質を一定の水準にそろえることが目的とされたが、時代とともに生産方法や事業者の取組み、試験方法による差別化・ブランド化が求められるようになった。これからは日本の農林水産物・食品の輸出の拡大も見据え、国内規格の国際市場へのアピールや国内規格の国際標準化が求められる。本講義では農林水産・食品分野の国際標準化について、農林水産省の取組みを中心に紹介する。 14 9月12日(金)4限 「国際交渉の実務」 【対面授業】 担当:泉 泰雄(オリエンタルコンサルタンツグローバル・元興銀・欧州開銀・世銀職員) 国際交渉は政府や企業間の国際会議のみならず、最近の米国トランプ関税をめぐる問題でも身近に。自国・自社の戦略的利益を優先に、建設的な"妥協"、"合意" の方法論を考える。国際交渉現場での「オモテ」の演説・討論にとどまらず「ウラ」のロビーイング、根回しなどが重要。交渉に必要なスキルにつき学ぶ。 15 9月12日(金)5限 「まとめ」 【対面授業】 担当:江藤学(一橋大学特任教授) 最終回は15回の講義の全体を振り返り、あらためて標準化の重要性を確認する。 ※上記の日程(担当時限)、講師は変更になる可能性があります。 |
実務経験を活かした 授業内容 (実務経験内容も含む) /Course content utilizing practical experience |
本共同授業は、経済産業省の課長として「標準化」問題の最前線で実務に携わってこられた一橋大学の江藤学先生による標準化に関する基礎的な講義のあとで、機械、電機・電子、通信、バイオなどの各産業界の第一線で活躍されてきた各講師が、長年にわたる実務経験を活かした講義を行う。各産業界の標準化活動を具体的な事例を通して最新の動向及び課題等について学ぶ。 |
授業時間外の学習 (予習・復習等)(1,000文字以内) /Preparation and review outside class(up to 1,000 letters) |
適宜、学習に必要な資料を渡します。 |
成績評価方法 および評価基準 (最低達成基準を含む) (1,000文字以内) /Evaluation and grading (up to 1,000 letters) |
各講義の提出物や講義の内容に関する課題レポートに基づいて適正に評価します。 |
オフィスアワー: 授業相談(1,000文字以内) /Office hours(up to 1,000 letters) |
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学生へのメッセージ(1,000文字以内) /Message for students(up to 1,000 letters) |
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その他 /Others |
各講義は関係の業界や学会の協力を得て、最新の知識と情報を提供する稀有な講義にな ります。(日本電機工業会、産業環境管理協会など) 履修登録期間は、他の前学期集中講義とは異なります。詳細はUEC学生ポータルの掲示を確認してください。 |
キーワード /Keywords |
標準化、国際ルール作り、知財戦略、デファクト・デジュール・フォーラム標準、官製 認証ビジネス、コストダウン、市場拡大 |